妻は激怒…娘から送られてきた、「物寂しいライン」
「娘からは『パパの人生だから好きにすればいいと思う』とラインで一言。ちょっと物寂しい気持ちにはなりました」
原本さん、周囲がひっそりと心配しているなか、「新しい人生の始まりだ」と意気揚々です。有給消化中は、ビジネス書を読んだり、今までしていなかった筋トレをはじめたりと、それはもう「水を得た魚」のようでした。
有休も終わり「完全無職」となった原本さん。奥さんの眼光もそろそろ鋭くなってきた手前、本腰を入れて次のステップを踏み出すことにしましたが、ふと、あることに気づきました。
「何か新しいことにチャレンジを」。張り切っていた原本さんでしたが、その「何か」が、自分でもよくわかっていなかったのです。
起業しようかな。――でも、何の?
飲食店でも開くか。――いやいや、料理なんてしたことないし。
前職と近い業種で働くか?――それだと、辞めた意味がない。
原田さん、趣味は登山と釣り。あくまで人生の息抜きとして楽しんでおり、仕事にはしたくない気持ちがあります。
慌てるにはまだ早いと自分を落ち着かせ、転職サイトを開いてみることに。多様な業種が表示されるなか、とりあえず目に入った「広告」業の詳細を見れば、おびただしい量の会社が並びます。新卒で入社し、そのほかを知らない原田さん。若い社会人が笑顔でアピールするその姿に、ちょっと尻込みしてしまいました。
「転職サイトを見たら、急に現実味が湧いてきたといいますか、『俺は、このなかから選ぶのか?』と。今になって正直に言えば、『我に返った』感はありました」
「やりがいとか、達成感とか、若かったあのころを思い出したいと考えていたんです。自分が求めていたのはそのワクワク感であって、じゃあ具体的に何をしたいんだと問われると、それは……」