50代・年収2,000万円で「3,200万円の別荘マンション」購入も…“全く予期していなかった”大損の理由【85歳・現役投資家の教訓】

50代・年収2,000万円で「3,200万円の別荘マンション」購入も…“全く予期していなかった”大損の理由【85歳・現役投資家の教訓】
画像:PIXTA

平成初期のバブル経済は、多くの人に投資や事業成功の機会をもたらしました。85歳の現役投資家、石井勝利氏もその恩恵を受けたうちの一人です。しかし、華やかな時代の影には、大きな損失も伴っていました。本稿では、石油危機やバブル崩壊、リーマンショックといった経済の変動を乗り越えてきた石井氏の著書『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)から、別荘マンションを購入した際の失敗談に関する部分を一部抜粋・編集してお届け。その背景と教訓を探ります。

バブル真っ最中、夢のリゾートマンションを購入

35年前、平成元年は、昭和64年。この年は、バブルの真っ最中です。私は当時は、働き盛りの49歳(年収700万円)でした。

 

ひどいパワハラ上司と決別すべく、新聞記者(政党機関紙)を退社して二年後。私は解放感で仕事が順調に行き、年収は軽く2,000万円はありました。世の中は、株と土地、経済は好調の真っ最中です。

 

当時、デベロッパーが「リゾートマンション」をどこでも開発し、リゾートブーム」になっていました。私の家庭でも、女の子一人の三人家族。たまには、非日常が欲しいとばかりに、東急不動産が分譲した山中湖のリゾートマンションを3,200万円で購入しました。

 

テニス村を通過したその先の小高い立地のマンションが気に入り、広めの1LDKで、友人の家族も招ける最高のシチュエーションでした。眼下にはテニス村、その先に山中湖、遠くに富士山が見えるリゾート。最高でした。

 

室内には、多くの家族が泊まれる寝具はもちろん、カラオケの設備も備えられて、大自然に囲まれてのバカンスは最高でした。ただ、車での移動は、運転が苦手な私の代わりに、妻が担当していました。私より6つ下なので、当時43歳。運転が大好きな妻は、私が参加しない時でも友人を誘い、さっそうと山中湖に行っていました。

家族の崩壊……大きすぎる損失額

しかし、11年後、2000年の年明けに、妻が乳がんの末期で治療もむなしく、この世を去りました。ちょうど、ITバブル崩壊の真っ最中でした。リゾートは、車の移動が普通です。私は運転が苦手なので、山中湖に行くのは、長女だけになりました。

 

その時のマンションの共益費は3万6,000円。行かなくても、使わなくても、毎月3万6,000円は口座から天引きされます。バブル崩壊で、仕事の勢いも落ちて苦労していたときであり、妻もいなくなって落ち込んでいたその時は、別荘地に行くような心境でもなく、売却を考えました。

 

その時に知ったのは、マイホームの値段は下がっても半値くらいですが、必要不可欠ではないリゾートマンションの相場は急落。なんと、値が付かない、タダでも買い手がいない状況になりました。結果的に、分譲主の東急不動産が100万円で買ってくれましたので、購入時の3,200万円からすれば、100万円の売却では3,100万円の損です。恐ろしいもので、必要不可欠ではない不動産は、需要がないので、「暴落」でした。

 

もちろん、このマンションの購入ではローンを借りていましたので、残債が残りました。ローンとは言っても、リゾートマンションには銀行は貸し付けはしなくて、結果的に貸し付けの担保は、自宅の一戸建てになりました。なので、リゾートマンションを処分してもローンは残り、返済は自宅の売却時となります。

 

このように、時代がバブル崩壊となり、家族構成が「妻無し」となると、必要ではない不動産となります。もちろん、余裕があれば保有していれば良いのですが、欲しかった、使い勝手が良かったと言っていた妻が亡くなっては「無用の長物」です。このように、時代の流れ、一時の夢で買ったリゾートマンションも、 家族の崩壊で、3,100万円の損となったのです。

 

そのほかにも、マンションには、様々な備品にお金をかけましたので、 4,000万円くらいの損失になります。 バブル崩壊を生き抜いた私ですが、これは痛い失敗でした。

 

 

石井 勝利 

投資家

経済評論家

 

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85歳、現役・投資家のお金の哲学

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石井 勝利

SBクリエイティブ

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