弱みにつけこむ投資詐欺の勧誘に注意を
今回藤崎さんが被害に遭った詐欺スキームは、ポンジスキームと呼ばれるものです。高いリターンを謳い勧誘し、初めのころは投資家に対し返すことで信用を得ます。しかし、これは見せかけで、ほかの会員から集めたお金であたかも利益が出ていると信用させるのです。それだけの高いリターンを払い続けられるはずもなく、そもそも事業としての実態もないためにどこかで破綻させるという詐欺スキームです。
金融知識は豊富だったはずの藤崎さんでしたが、彼女が共犯として介することで正常な判断力を失い、さらに実際に彼女からの返済を受けていたことですっかり信用してしまい、大きなお金を投資してしまったのでした。
そして、近年ではマッチングアプリを使い、パートナーを探しているふりをしながら詐欺のターゲットを探している業者もあり、藤崎さんのようにSNSで共通の趣味や話題で近づいてくることもあります。
また、詐欺ではなくても公的年金の不安に付け込んだビジネスや金融商品の勧誘を受け、損失を被っている事例は後を絶ちません。安心してお金を預けているはずの金融機関から勧誘を受けた金融商品をよく理解せず、ハイリスクで複雑な仕組みの商品を契約してしまったことで多額の資産を失ってしまうようなこともあります。
少しでも疑問に思うことがあれば、まずは第三者に相談して1人で判断しないようにすることが大切です。各自治体にはそういった相談を無料で行うことができる消費生活センターが設置されていますので、少しでも疑問に思ったらそういった機関にまず相談してみることが大事です。
詐欺で老後資金を失う高齢者たち
今回は豊富な金融知識を持ちながらも詐欺に遭ってしまい、老後の資産を失ってしまった藤崎さんの事例をお伝えしました。
警視庁が公表する2022年の特殊詐欺関連統計によると、全国の被害額は370億8,000円という巨額の金額で、1万7,570件もの詐欺が発生しているといいます。また、その被害者の86.6%が65歳以上の高齢者というデータがあります。大事な老後の資金を失ってしまっている事例も多数報告されています。
こういった詐欺スキームに騙されて大金を失い、詐欺の被害者がそれでショックを受けてしまい自ら命を絶ってしまうような痛ましい事件も起きています。
ビジネスの基本は「価値提供」です。誰かの役に立つことでその対価を受け取る、これが大前提であり、投資とはそれがこれからの社会で多くの人から必要とされて長期的に成長の果実を受けるためにお金を投じることです。
誰の役に立っているのかよくわからないビジネスモデルに投資をしたり、高い利回りだけに釣られているとこういった詐欺に引っかかりやすいものです。ですので、どうやって利益を出している事業なのかをしっかり見定め、わからないならば自分の大事なお金を投資するようなことはしないようにしましょう。
小川 洋平
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