なんでこんなことに…長女とオーナーが唖然としたAさんの現状
渋々玄関の扉を開けたAさん。Aさんの部屋を見た長女とオーナーは、おもわず固まってしまいました。
「なんでこんなことに……」
新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響もあり、一人暮らしのAさんは話す人がおらず孤独に苛まれたそうです。そのようななか、たまたまテレビでみかけた通販番組にハマってしまい、買い物依存症に。結果、Aさんの部屋は通販や訪問販売などで購入したさまざまなモノで溢れかえっていたのでした。
片づけを済ませた長女は、何度も「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と深々頭を下げます。ただ、長女によると「あと数年は日本に戻れない」とのことでした。
ひとまずは遠隔の見守りサービスを利用しながら、自治体にも相談するとのことです。また、オンラインで子どもや孫と顔を見せ合い、人と話す機会も増やすことになりました。
日本の社会問題…高齢者の身に起きる、孤独死の実態
「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(令和2年)」を見てみると、ひとつの特徴があります。
それは、女性の単身世帯の場合、年齢が上がるにつれて亡くなる人数も増加するのに比べ、男性の単身世帯では70~74歳で亡くなる人の割合が最も多いという点です。
70~74歳というと、現役を引退し社会との接点が無くなってから数年で、日本人の平均寿命から考えても早すぎるように感じられます。
男性のほうが孤独死が多い理由として、
・近所付き合いがない
・人を頼れない
などが挙げられます。
生活力がなくて家事が苦手なままだと衛生状態や健康状態が悪化し、突然死のリスクが一気に高まってしまいます。
さらに、会社員生活がこれまでの人生の大半を占めている場合、肩書きや上下関係、損得などのないフラットな付き合いを築いていくのが苦手な傾向にあります。また、仕事などで頼りにされてきた経験が多いほど、余計なプライドが邪魔をして人に弱みをみせられず、何かあっても誰にも相談できない場合も多いのです。
もちろん経済的な困窮も孤独死の要因になりますが、Aさんの事例からもわかるように、生活に必要な老後資金があるから安心ということでもないといえるでしょう。