「箱の有無」と「キャッシュポイント」は要確認
もし「会社名などの記載がないけど、提供されている商品やサービスが気になる」という場合はどうしたらいいでしょうか? 僕のような士業事務所であれば、事務所を開設し、公的な機関に届け出るのが義務となっています。それらを取り仕切る団体のWebサイトを探せば身元が判明します。
これは士業でなくとも、飲食店をはじめ、旅館業、風俗営業、不動産業、建設業、古物営業など、許可取得や登録などが必要な業種も同じです。その業を取り仕切る団体か、行政機関などが名簿を公表しています。そこから個人名で探してみましょう。
本来的には、商品やサービスをネット上で提供しているなら、特定商取引法などの法律に基づいて、事業者名、代表者名、住所、連絡先などを明示しないといけません。そういう意味では、屋号や会社名、所在地などを明示しない、いわゆる「箱がない」ビジネスは信用できないと思っていいでしょう。
例外はありますが、事務所や店舗がある(そこに行けば本人が逃げることができずに存在する)ことで、あまり無茶なビジネスはできないからです。さらに「個人情報保護指針」や「利用規約」も、取捨選択の基準になるでしょう。これらもやはり、特定商取引法同様、通常であれば明示しているはずのものです。
もし、個人情報保護指針や利用規約が、支離滅裂な文章になっていたり、どこかのサイトの使い回しを思わせるような文章であったりしたら、危険度が高いということがわかるでしょう。
最後にもう一つだけ、重要なポイントをお伝えしましょう。取材や出版、情報商材やセミナーなどを例に、その相手の「利益が確定」するタイミングを見る重要性を説明しました。つまり、相手方のビジネスモデルにおけるキャッシュポイントを探ることが、とても重要なのです。
世の中のほとんどすべての堅実なビジネスは「顧客の課題を解決すること」で成り立っています。「おいしいものを食べたい」を解決する飲食店、「髪の毛が伸びてきたけど自分で切れない」を解決する美容院、「自分では服を綺麗にできない」を解決するクリーニング店など、あらゆるビジネスがそうですから、枚挙に暇はありません。
他方で、希少性ある能力をもとに「ありがたがられたり」「推される」ことで利益が出るビジネスもあります。スポーツ選手、俳優、ミュージシャン、漫画家、伝統芸能などなど、こちらも枚挙に暇がありません。誰でも容易になれないからこそ「相手の課題解決」に直結せずとも、利益を得られるのです。
もし、いずれかの分野で、何らかの才能に突出しているのであれば、安心してその道を進んでいただきたいです。しかし、もしその自覚がないのであれば、堅実なビジネスを目指すべきです。堅実ビジネスと搾取ビジネスの違いは「キャッシュポイント」です。決して搾取ビジネスに惑わされてはいけません。
そのためにも、こちらの課題を解決することで利益が確定するか、こちらの課題解決前に利益が確定していないかのチェックは最重要です。
「箱もない」し「法規制に沿った記載もない」上に「相手側に有利なキャッシュポイント」の商材だけど、申し込んだら、幸せになるらしい、成功するらしい、儲かるらしい……というものではないか? そんな状況になっているかのチェックが重要です。しっかり判断していきましょう。
服部真和
行政書士