【遺産総額2億円】子のない嫁をいじめた80代舅の遺言、意外にも常識的だったが…夫の〈まさかのハッチャケ〉で妻「耐えてきた自分がばかみたい」と泣いたワケ

【遺産総額2億円】子のない嫁をいじめた80代舅の遺言、意外にも常識的だったが…夫の〈まさかのハッチャケ〉で妻「耐えてきた自分がばかみたい」と泣いたワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

多死社会となった日本では、日々多くの相続が発生している。納税資金捻出の苦労や、遺産分割を巡る相続人間のトラブルなど、さまざまな問題があるが、割り切れない思い、納得できない思いは、金額の多寡だけでは説明がつかないようだ。実情を見ていく。

義両親の死後、夫の口から出た「驚きの言葉」

実は、鈴木さんの夫の父親は自宅不動産と現預金で合計2億円ほどの財産を持つ小金持ち。姑が亡くなったときは、数百万円のへそくり程度の遺産だったが、舅が「子どもたちで適当に分けろ」といったことから、夫と2人の妹で3等分に分けておしまいになった。

 

しかし今回の相続は金額が大きい。しかも、舅は公正証書遺言を残しているという。

 

舅の葬儀から数日後、鈴木さんの自宅に妹2人が集まり、遺産相続の話になった。

 

相続人ではない鈴木さんは、その場にいるのがはばかられたが、お茶を運びつつ、断片的に聞こえてくる話に耳を傾けた。どうやら、遺産はきょうだいで三等分というのが、遺言の中身のようだった。

 

「税金を払っても、5,000万円ぐらい残るかしら? もしそうなら老後は心配ないかも…」

 

その日以降、鈴木さんの夫は「相続の件で打ち合わせに行ってくる」といって家を空けることが続いた。

 

ところがその後、一向に相続財産についての話が出てこない。

 

鈴木さんはしびれを切らし、夫に聞いた。

 

「お父さんの遺産、どうなったの? 家は売れた?」

 

すると、夫の口から驚くような話が出た。

「子どもも残せなかったのに、相続するなんて申し訳ない」

「家は売らないよ。下の妹が欲しいっていうからさ…」

「ええっ、陽子さん(二女)が!?」

 

鈴木さんは思わず大きな声を出してしまった。

 

「それであなたと明子さん(長女)は納得したの?」

「うん。明子は貯金を全部相続できればそれでいいって」

 

「あなたはなにも相続しないの?」

「うん。僕は放棄した」

 

「どうして?」

「だって、妹たちは子どもがいるだろう? うちは子どもを残せなかったのに、相続なんかしたら、親父とお袋に申し訳ないじゃないか…」

 

遺言書があっても、相続人全員の合意があれば、遺産の分配は変更しても構わないのだという。

 

鈴木さんは複雑な表情を浮かべた。

 

「夫の実家の相続であって、私には何の関係もないのはわかっています。わかっているんですが、夫をかばって、これまでずっと私が矢面に立ってきたことを、夫はなんとも思っていなかったのかな、って」

 

「両親に申し訳ないと思うなら、どうして舅と姑に、〈子どもができないのは自分のせい〉だと、本当のことを話してくれなかったのか…。耐えてきた私ひとり、ばかみたいじゃないですか…」

 

この一件以降、鈴木さんはどうしてもむなしい気持ちが消えないという。

 

相続で手にするのは「お金」だけではなく、何か大きな「家族への思い」でもあるのではないか。

 

「いっそ離婚したら、この気持ちはすっきりするのでしょうか?」

 

自分でも自分の気持ちが分からないと、鈴木さんはいう。気持ちの整理がつく日は来るのだろうか。

 

[参考資料]

法テラス「法定相続人とは何ですか。」

法テラス「遺言の内容と異なる遺産分割をすることはできますか。」

 

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