「低価格」がウリの中小企業…自社の強みをもっと魅力的に表現する方法【中小企業診断士が解説】

「低価格」がウリの中小企業…自社の強みをもっと魅力的に表現する方法【中小企業診断士が解説】

中小企業が新規事業を開発する際「自社の価値」を改めて定義することは重要です。しかし実際、改めて定義しようとすると意外と難しいでしょう。そこで活用されるのがCFTチャートです。本記事では、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集し、新規事業開発のためのCFTチャート活用法について解説します。

F(機能)は、「付き合い」でも「低価格」でもない?

F(機能)の補足として、「顧客に提供する機能」との言い方は、自社側の視点から見た場合の表現です。顧客側の視点から考えて、「顧客から見た価値」と言い換えて考えてみてもいいと思います。

 

企業の担当者に、「貴社の特定の事業のF(機能)を考えてください」とお願いすると、「長い付き合い」とか「低価格」といったものが挙がることがあります。

 

しかし顧客は、本当に、「長い付き合い」で発注しているのでしょうか? 多くの競合企業があり、それぞれの企業が営業の努力をしているなかで、「長い付き合い」ゆえに、自社に発注してもらえることはいつまで続くでしょうか? また、「長い付き合い」で発注先を決めていたら、発注元の企業の競争力にも支障が生じるのではないでしょうか?

 

F(機能)として「低価格」を挙げる場合も、本当にそうなのか十分に吟味する必要があります。一時的に低価格で受注できたとしても、いつまでも続けて事業を継続していくことは可能でしょうか?

 

自社事業のF(機能)として「低価格」を掲げることがダメというわけではありません。しかし、「低価格」をF(機能)とすることは、他社と同等の商品を、他社よりも常に低価格で提供し、顧客に提供し続ける、ということです。F(機能)として設定することは、かなり難易度の高いことだと思います。

 

これを可能とするT(技術)は何でしょうか? 低コスト化のための、他社を圧倒する仕入れのネットワークや生産技術など、相当なノウハウや技術が必要になるのではないでしょうか。

 

同じような金属部品加工をおこなっている企業であっても、企業ごとにCFTは異なるはずです。これまでの歴史・経験・人材・設備・立地など、すべてが同一の企業はあり得ないからです。自社の提供する機能・価値・強みといったものを、顧客の立場に立ってじっくり考え、自社の事業を定義してみることは、新規事業開発の第1歩となります。

 

 

中野 正也

株式会社グローバル事業開発研究所

代表取締役

 

※本記事は『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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※本連載は、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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