「働いて働いてお金を稼ぐ日本人」の今
「勤勉」「よく働く」といったイメージを抱かれることの多い日本人ですが、その働き方のマイナス面について注目され始めたのは、1980年代後半のこと。過労による自殺、突然死の報道が相次いだのです。
時は経ち、現在。厚生労働省の令和元年度の調査を見てみると、月末1週間の就業時間が40時間以上である就業者のうち、週の就業時間が60時間以上の割合において最多を占めているのは、全年代の男性のうち「40歳代」「30歳代」です。
「たくさん働いた分、お給料はタップリもらっている」……そう宣言したいところですが、国税庁『民間給与実態統計調査』(令和4年)を見ると、日本人のリアルなお金事情が明らかになっています。
日本人の平均給与…「こんなにもらってない」の悲鳴
1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は458万円。男女別にみると、男性563万円、女性314万円となっています。
平均給与458万円。ボーナスを考えずに単純に計算すれば、月の収入では約38万円。手取りでは約30万円といったところです。
正規、非正規についてみると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は正規523万円、非正規201万円です。男女別にみると、正規については男性584万円、女性407万円、非正規については男性270万円、女性166万円となっています。
年齢別に詳しく見ていきましょう。20代~60代の平均給与(男女合計の平均)は下記のとおり。
【年齢別平均給与】
20~24歳・・・273万円
25~29歳・・・389万円
30~34歳・・・425万円
35~39歳・・・462万円
40~44歳・・・491万円
45~49歳・・・521万円
50~54歳・・・537万円
55~59歳・・・546万円
60~64歳・・・441万円
65~69歳・・・342万円
「もっとも働いている」40代の平均年収について詳しく見てみると、40歳~44歳の男性が602万円、女性335万円。45歳~49歳の男性が643万円、女性346万円。「もっとも給与が高い」年齢層である50代の平均年収について見てみると、50歳~54歳の男性が684万円、女性340万円。55歳~59歳の男性が702万円、女性329万円でした。
……格差が広がる今、「こんなにもらってない」という声は多く聞かれます。
介護職員として働く吉村さん(仮名/50歳・男性)。バブル崩壊後の就職氷河期を生き抜いたあとも、長らく不況に苦しめられてきた「団塊ジュニア」の世代です。