東京都心の不動産価格は上昇の一途を辿っています。絶好の契機と考え、不動産の売却を検討する人も多いのでは。しかし条件の良い物件でありながら、買取相場以下という結果に涙するケースも。その理由を、不動産業界のトップセールスマンだった齊藤郁織氏が解説します。

サブリースに潜む注意点、3つ

ただし、この説明した『サブリース』には注意すべき点がいくつかあります(※誤解の無いようお伝えすると、最後に説明しますがサブリース契約には利点もあります)。「知らなくて契約した」ということが問題であって、サブリース自体は合法な制度です。

 

1)貰える家賃が少ない

管理会社から毎月もらえる家賃は、実際に入居者が管理会社に払っている家賃より少ないです。管理会社は空室リスクを負っている分、実際の家賃の一部を手数料としてもらっていると考えると分かりやすいかもしれません。さらに、管理会社が保証してくれる毎月の家賃は、数年に一度見直される場合がありますので、必ずしも将来にわたって同じ家賃の支払いを保証してもらえる訳ではない点も注意が必要でしょう。また、真に注意すべきポイントとして、もらえる賃料が少ないということは、売却価格にも影響します。サブリースによって毎月の家賃収入が10%減っていた場合、売却価格も10%低く評価される可能性があります。

 

2)礼金・更新料をもらえない

オーナーではなく管理会社が入居者との契約を結んでいますので、礼金・更新料は入居者から管理会社に支払われます。オーナーは礼金・更新料をもらうことができません。

 

3)中途解約のハードル

通常の管理委託の下でオーナーが入居者と賃貸借契約を結ぶ場合、契約期間は2年である場合が多いです。一方で、サブリース契約は長期間(10~30年等)にわたる場合があります。ここで論点になるのは中途解約です。「借地借家法」という法律により、賃貸人(借りてる側)は手厚く保護されていますので、賃貸人である管理会社からの解約はできても、賃貸人(貸してる側)となるオーナーからの解約は難しいと言われています。同様に契約更新の拒絶のハードルも高いです。「管理会社から保証してもらっている家賃が、実際に入居者が払っている家賃より少なそうだから通常の管理委託に切り替えようかな」と思っても、オーナー都合で切り替えはとても困難です。私もよく解約の相談をいただきますが、かなり慎重な交渉が必要となります。

 

ただ、デメリットだけではなくサブリース契約には空室リスクを回避して安定収入を得られる利点もあります。解約の難しさ等からトラブルになる場合も多いですが、検討して自分にはメリットの方が大きいと思われる場合は、利用を考えてもいいかもしれません。

 

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