(※写真はイメージです/PIXTA)

いつの時代もなくならない相続トラブル。親/子ども/きょうだいと、死後のことを話すのは気まずい…。といった声は多いものですが、生前対策を怠ってとんでもないトラブルに巻き込まれる例が相次いでいます。本記事では実際の事例を紹介し、相続対策の基本を見ていきます。

姉激怒「よくもまあ嘘をつけたな!」

自分勝手すぎる主張に姉2人は絶句。一瞬の沈黙ののち、火山が大噴火します。

 

「お父さんの最期の言葉でしょ!? よくもまあ嘘をつけたな!」

 

「損するって何!? 長いこと仕送りまでもらってたのに今さら損も何もあるか!」

 

「土下座しろ!」

 

と矢継ぎ早に責め立てます。激高する姉を前に、ヒロキさんは太刀打ちできません。

 

「も、申し訳ございませんでした……」と平謝り。

 

ほとぼりが冷めたのち、伊藤さん一家はすぐに家庭裁判所へ検認を依頼。遺言書には、預貯金と投資信託について、遺産分割の方法がしっかり書かれていました。そして家族一人一人への感謝の言葉も。

 

結局、遺産分割は遺言書に書かれた分け前のとおり、姉が預貯金をそれぞれ400万円ずつ(ヒロキさん200万円)、投資信託は長女が受け継ぎ、資産管理をすることになりました。分け前200万円は、遺留分を侵害されないギリギリの額です。

 

ヒロキさん、遺言書の存在を白状したのは、最後の良心が痛んだからでしょうか。しかし後悔先経たず。姉との仲は修復できないまま、現在に至ります。

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この事例は相続トラブルの典型例といえましょう。ただえさえお金が絡むと揉めるものですが、遺言書を故意に紛失したり、捨てたりしたことが発覚した場合、かなりの確率で争いの火種になります。

 

なお遺言書の検認については下記を参照ください。

 

“自筆証書遺言書は書く際は簡単ですが、法律上の「遺言書」として認められるためには、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要となります。この検認を受ける手続きが本当に大変なのです。

 

検認の手続きのため、裁判所に出向く必要があります。一般の方の場合、これだけでも精神的にストレスとなるでしょう。さらに相続人のなかで非協力的な人が1人でもいれば前に進みません。そもそも自筆証書遺言書は形式に当てはめて書かれていなければ無効となります。日付の記載がなかったり、印鑑が押されていないなど、何か一つでも不備があると法律上の遺言書として認められません。

 

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