(※写真はイメージです/PIXTA)

以前は明確なアセット・クラスとして認識されていなかったプライベート・クレジット。文字通りプライベート(未公開)な資産の1つとして、貸付や債権といった信用リスクをリターンの源泉とした投資対象のことを指します。今回は、米国の大手資産運用会社であるアライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が、そんな「プライベート・クレジット市場」の現状と注目の投資対象について解説します。

不動産ローン、ダイレクト・レンディング…具体的な投資対象の「注目ポイント」は

ここからは、プライベート・クレジットの具体的な対象に応じて注目ポイントをお伝えします。

 

1.商業用不動産ローン

まずは商業用不動産ローンです。コロナ禍以降のメディア報道や課題に直面する商業用不動産セクターが影響し、銀行は融資を減らしてきています。

 

そのため、プライベート市場では貸し手が優位な環境です。健全な貸し手に対しては優良担保付でも高いリターンが見込めるほか、ダウンサイドのリスクに対しても損失を吸収する資本上のバッファーを契約条件に含めるといった有利な交渉が可能です。

 

2024年は満期をむかえる既存ローンが増えることが想定され(図表1)、ローンの条件に関して貸し手に有利なものになると考えられます。

 

過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。予想は今後変更される可能性があります。 ※ 商業用不動産ローン担保証券 2023年12月31日現在 出所:モーゲージ・アソシエーション、ニューマーク、AB
[図表1]不動産ローンの暦年別満期分布(貸し手別、2024~2033年、億米ドル) 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。予想は今後変更される可能性があります。
※ 商業用不動産ローン担保証券
2023年12月31日現在
出所:モーゲージ・アソシエーション、ニューマーク、AB

 

2.ダイレクト・レンディング

次にダイレクト・レンディングです。2023年は高金利を受けて取引活動は冷え込んだものの、それでも同年の平均利回りは12%を超えており、高いリターンを生み出しました。

 

ダイレクト・レンディングのベース金利は2024年末に4.5%前後になると予想していますが、これは世界金融危機後の数年間主流だった1%未満をはるかに上回る水準です。

 

高金利に苦しむ借り手もいるため、事前の精緻な分析などが必要とされ、安定的なポートフォリオを構築する運用マネージャーの能力が重視されるでしょう。

 

3.インフラ関連

インフラ関連では、クリーンエネルギーへの転換に最前線で資金供給する主体がプライベート市場の貸し手にあたります。太陽光発電や蓄電設備に対する融資は特に魅力的です。

 

ただし、もちろんエネルギー転換の道筋は紆余曲折があることから、案件を選別するアプローチが必要です。米国ではインフレ抑制法によって関連施設の建設を促進し、新たなプロジェクトが生まれています。ここでも銀行が資金供給から手を引きつつあり、投資機会は拡大しています。

 

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【ご注意】
※本稿は、ABのリサーチブログ「知の広場」の「攻守に活きるダイレクト・レンディング」、「プライベート・クレジット市場の見通し:金利上昇のプラス面」を参考に、再編集したものです。詳細については当該ブログをご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン・ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2024年4月3日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が再編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

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