相続税対策の優先順位を誤ると大変なことに・・・
相続税対策には優先順位があります。これを誤ると「節税対策などやらなければよかった」ということにもなりかねません。その順位とはズバリ次のとおりです。
●第一順位:相続人の円満(これが最優先。もめたら一家の絆が壊れます)
●第二順位:税資金の確保(税額が減っても、これが払えなければアウト)
●第三順位:相続税の節税(上記二つを達成の後、初めて果敢にチャレンジ)
ともすると相続税対策は、「とにかく税額を減らせばいい」といった考えがなされているようです。しかしこの節税対策よりもまず優先すべきは、第二順位の納税資金の確保です。たとえば、3億円もの相続税がドカッと降りかかってきたとしましょうか。しかしそうであっても、遺産にそれ以上の額の預金があれば楽勝です。預金を下ろして納税すればいいからです。
ところが相続税額がその10分の1の3000万円でも、金融資産がなければ大変なことになります。仮に熱心に取り組んでいた節税策が功を奏して300万円程度の税額が減っていたとしても、納税資金が用意できないのであればそれは「焼け石に水」です。ともすると「長年住み慣れた自宅を売って納税する」などということにもなりかねません。
したがって相続税対策は、節税対策よりも納税資金が確保されているかどうかの目配りが優先されなければならないわけです。
遺産争いで家族の絆がズタズタになったのでは・・・
しかし、これら二つよりも優先すべきは、何と言っても相続人同士の円満の確保です。相続における遺産争いによって家族の絆がズタズタになったのではどうにもなりません。これではその親は、まさに「死んでも死にきれない」ことになってしまいます。
以前から感情の大きな対立があるのであれば、今さらどうなるものでもないでしょう。それでも「それらを表面化させないように、何とか無難に財産を分けることができないものか」。こうした工夫は最優先されるべきと思います。ましてや平穏だった家族が、遺産分割をきっかけに対立が生じさらには決裂してしまうなどといったことは、何が何でも避けなければなりません。相続人の円満が最優先されるゆえんです。
もちろん節税対策も重要です。どうせ払う税であれば少ないほうがいいに決まっています。しかし、その節税対策よりも優先すべきことが二つあるわけです。相続税対策は、これら全体のバランスをしっかりと考えておかなければなりません。