社会保障が「国民の負担になっている」皮肉な実態
全世帯の貯蓄額の細かい内訳をみていくと、多い順に「3,000万円以上」11.8%、「1,000万円~1,500万円未満」9.7%、「500万円~700万円未満」9.1%と続きます。「50万円未満」は4.3%と決して少なくはない数値を記録しています。
なお、2019年の発表では、多い順に「500万円~700万円未満」9.3%、「1,000万円~1,500万円未満」9.2%、「3,000万円以上」8.9%、「100万円~200万円未満」7.5%となっていました。格差の広がりをうかがわせる結果となっています。
高齢者に限った場合では、貯蓄額「3,000万円以上」が14.0%です。なかなか高いハードルに感じる人も少なくないのではないでしょうか。
さらに「老後に備えてお金を貯めなきゃ……!」と考える多くの日本人の負担になっているのは「社会保障」であるという、これまた残酷な現実があります。
家計調査より作成された内閣府の資料によると、直接税・社会保険料等がもっとも多いのは45~54歳。実収入のおよそ20%にあたる金額が引かれています。
勤労者世帯の社会保険料の推移を見ていくと、2006年、勤労者世帯社会保険料は1ヵ月あたり月4万円程度でしたが、2020年の時点で約5万7,000円にまで跳ね上がっています。
老後に備えてお金を貯めようとしている現役世代に立ちはだかるのが、老後を支えるための社会保険料であるとは、なんとも皮肉なものです。
財務省ホームページ『これからの日本のために財政を考える』には以下の事実が記されています。
“2021年度予算案の国の一般会計歳入106.6兆円は、①税収等と②公債金(借金)で構成されています。
現在、①税収等では歳出全体の約2/3しか賄えておらず、残りの約1/3は、②公債金(借金)に依存しています。
この借金の返済には将来世代の税収等が充てられることになるため、将来世代へ負担を先送りしています。”