(※写真はイメージです/PIXTA)

チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。

 

●2023年度のスタイル別株価指数ではグロース株よりバリュー株、小型株より大型株が選好された。

●2024年度もバリュー株や大型株を選好する傾向が続いているが全体的に株価の値動きは低調。

●株価の持ち直しには、資本コストや株価を意識した経営へのより積極的な企業の取り組みが必要。

2023年度のスタイル別株価指数ではグロース株よりバリュー株、小型株より大型株が選好された

今回のレポートでは、最近の国内バリュー株とグロース株の動きを検証します。なお、検証で使用するバリュー株とグロース株は、東証株価指数(TOPIX)のスタイルインデックスシリーズの株価指数です。はじめに、2023年度の騰落率を振り返ると、2023年3月31日から2024年3月29日までの期間、TOPIXバリュー指数は47.6%上昇、TOPIXグロース指数は28.8%上昇し、バリュー株がグロース株を大きくアウトパフォームしました。

 

バリュー株とグロース株を、さらに大型と小型に分類すると、TOPIX 500バリュー指数(大型バリュー)は48.7%上昇、TOPIX Smallバリュー指数(小型バリュー)は36.3%上昇、TOPIX 500グロース指数(大型グロース)は29.8%上昇、TOPIX Smallグロース指数(小型グロース)は18.5%上昇となりました。つまり、2023年度はグロース株よりもバリュー株、小型株よりも大型株が選好されたことが分かります(図表1)。

 

[図表1]スタイル別株価指数の騰落率

2024年度もバリュー株や大型株を選好する傾向が続いているが全体的に株価の値動きは低調

このようなパフォーマンス格差が生じたのは、東京証券取引所(以下、東証)が2023年3月31日に、資本コストや株価を意識した経営などを企業に要請したことが大きく影響したと推測されます。東証の要請を機に、市場では株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業が、その是正に動くとの見方が広がり、とりわけ大型のバリュー株に対する海外投資家の関心は、相応に高かったように思われます。

 

次に、この傾向が2024年度も継続しているか否かを確認します。2024年3月29日から5月28日までの期間、TOPIXバリュー指数は0.9%上昇しましたが、TOPIXグロース指数は0.9%下落しました。また、大型と小型で分類してみると、TOPIX 500バリュー指数は1.0%上昇しましたが、TOPIX Smallバリュー指数は0.4%下落、TOPIX 500グロース指数は0.6%下落し、TOPIX Smallグロース指数は4.1%と相対的に大きな下げとなりました。

株価の持ち直しには、資本コストや株価を意識した経営へのより積極的な企業の取り組みが必要

このように、2024年度に入ってからも、グロース株よりバリュー株、小型株より大型株が引き続き選好されていることが分かります(図表1)。最後に、東証33業種の業種別株価指数について、2024年度入り後、上昇率の大きい10業種と下落率の大きい10業種を図表2にまとめました。これをみると、総じてPBR1倍割れで、配当利回りが相対的に高い業種が選好されている様子がうかがえます。

 

[図表2]業種別株価指数の騰落率

 

足元、バリュー株の選好が続いていることから、資本コストや株価を意識した経営が広がるとの期待も続いているように思われますが、全体的な値動きは昨年度に比べ低調です。この先、バリュー株や大型株が持ち直し、グロース株や小型株にも波及する流れを生むためには、企業が投資家の視点で資本コストを捉え、資本収益性や市場収益性を多面的に分析・評価するなど、より積極的な取り組みが求められます。

 

(2024年5月29日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【日本株】最近の「バリュー株(割安株)」と「グロース株(成長株)」の動きを検証する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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