夢の一軒家を求めて
佐藤宏樹さん(仮名/35歳)と妻の由梨さん(仮名/33歳)は、都内の賃貸マンションで暮らしていました。二人は結婚前から一軒家に住むことを夢見ており、結婚後すぐに家を買うための資金を貯め始めました。彼らの目標は、広い庭付きの一軒家で子供たちを自然の中で育てることでした。
家を買うために、二人は毎月の収入からできるだけ多くを貯金に回しました。日本政策金融公庫の調査によると、住宅購入のための平均貯蓄額は約500万円ですが、佐藤夫妻はそれを超える目標を掲げていました。
週末の外食や旅行は控え、休日は家で映画を見たり、公園で散歩を楽しんだりしていました。宏樹さんが「いつか理想の家に住むんだ」という強い意志を持っていたからこそです。
由梨さんも節約生活を支えつつ、友人たちが話す最新の流行や豪華な旅行の話題には加わることができず、少し寂しい気持ちを抱えながらも「我慢の先に幸せが待っている」と自分に言い聞かせていました。
「夢と現実のギャップ」に直面
結婚してから8年が経ち、二人はついに念願の一軒家を購入することができました。都心から少し離れた郊外にあるこの家は、広い庭と素晴らしい眺めが魅力でした。引っ越しの日、二人は「これから新しい生活が始まるんだ」と胸を膨らませていました。
しかし、新しい生活が始まると、予想外の問題が次々と発生しました。まず、通勤時間が大幅に増えたことで、二人とも毎日疲れ果てて帰宅するようになりました。都心の便利さに慣れていた二人にとって、郊外での生活は思った以上に不便でした。
一軒家は賃貸マンションとは違い、全ての維持管理が自分たちの責任となります。庭の手入れや、家のメンテナンスにかかる時間と費用が予想以上に大きく、二人は次第に疲弊していきました。住宅金融支援機構のデータによれば、日本の一軒家の平均維持費は年間約30万円とされています。
週末もゆっくり過ごすことができず、庭の草むしりや掃除に追われる日々が続きました。
「せっかくの休日も、家の手入れに追われてリラックスできない」と由梨さんは不満を漏らすようになりました。家の維持費も思った以上に高く、貯金を切り崩すことが多くなり、経済的な不安も募っていきました。