総務部は間接部門の要。会社の事務業務のすべてを取り扱う部門
総務という言葉は「会社・団体で全体の事務を統(す)べつかさどること。また、その職あるいは人」(『広辞苑』より)を意味します。
つまり、総務部は会社の事務業務のすべてを取り扱う部門ということになります。ただ、現在の「総務部」の業務領域を見ると、企業によって千差万別といえます。
会社組織というものは、企業を取り巻く環境によって変わっていくものです。総務部も例外ではありません。会社の規模が小さいうちは一部署で事足りたものの、規模が拡大し、事業が多様化するにつれ、総務業務も増殖化の一途をたどることになります。
そこで、業務ごとに課ができ、そのうち部として分離・独立していきます。
すなわち、会社組織の間接部門である人事部や経理部、広報部、法務部などは、ほとんど総務部から派生したものです。こうした分離・独立の形は企業ごとに違いがあります。
したがって、総務部の業務領域が企業により異なり、どんな形で専門業務が分化されるにせよ、総務部は「母体」として他の間接部門の要(かなめ)の位置にあり、社内で大きな影響力を持っています。
総務部の仕事は「雑用だ」「何でも屋だ」と言われることもありますが、それは言葉をかえれば、他部門の活動の下支えをしているということです。他部門もわからないことがあると何でも総務部に聞いてきます。間接部門の要として認識されているからこそです。
総務部の役割は「経営トップと他部門への支援」
総務部の業務領域は企業によって異なると述べましたが、全般的経営管理を行う部署として基本的な役割をあげると、以下のようになります。
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①経営トップの参謀役:経営トップの意思決定に必要な情報提供、アドバイス、進言。
②全社的なコミュニケーション管理:経営計画・経営戦略の策定等経営全般における部門間の連絡・調整(交渉・話し合い・根回し・協力要請・アドバイス等)、業務事項等の全社通達。
③他部門のサービススタッフ:各部門が円滑に、そして効果的に業務遂行できるように後方から支援。
④全社的活動の推進:全社的活動の準備・PR・運営、または支援。
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言い換えると、総務部は経営トップと他部門の活動をあらゆる面から支援し、全社的にバランスよく利潤追求ができるような働きやすい環境づくりをする役割を持っているということです。
また、企業活動は様々な外部とのかかわりの中で行われており、総務部には「企業の顔」としての役割もあります。
官公庁との渉外・折衝、各種団体との付き合い、地域社会との交流、株主・投資家、メディア、消費者、学校等との対応を通して、社会との良好な関係を保つと同時に、諸々のリスクから会社を守る役割を負っています。
下條 一郎
元「月刊総務」代表兼編集長。東京都立九段高校、立命館大学文学部卒業後、株式会社池田書店入社。同社で書籍や雑誌の編集等を経た後「月刊総務」の出版権を引き継ぎ独立、株式会社現代経営研究会を創業。同誌を日本唯一の総務専門誌に育て上げる。同誌発行の傍ら、総務実務等のセミナー講師、経営やビジネス実務に関する勉強会を主宰。上場企業経営者をはじめ著名作家、大学教授、メディア関係者等多彩な人的ネットワークを持つ。総務およびビジネスマナー等ビジネス実務に関する書籍を多数執筆。
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