(※写真はイメージです/PIXTA)

法人税の税率は個人事業主の所得税ほど高くはないものの、節税対策によって得られる恩恵は侮れません。本稿では、税理士法人ネイチャーが「法人向けの節税方法」について解説します。

法人とは?

個人が事業を開始する場合の選択肢として、個人事業主と法人設立の2つが挙げられます。法人設立は事業を開始するにあたり、定款作成や法人登記などの手続きが必要であるほか、資本金を用意しなくてはなりません。

 

一方、個人事業主は管轄する税務署に開業届を提出すれば基本的に事業を開始できるため、法人よりも手間と費用をかけずに事業を開始できるのが特徴です。

 

個人事業主の所得に対しては会社員と同様に所得税が課されますが、法人の所得に対しては法人税が課されます。前回記事では個人事業主向けの所得税対策を紹介しましたが、節税対策を取り入れることによって法人税の税負担も軽減することが可能です。

法人向けのおすすめ節税対策

法人税は法人の種類や資本金額、年間所得金額で税率が変化します。しかし、個人事業主の所得税よりも税率は控えめで、最大税率が23.4%となっています。

 

法人税の税率が控えめと言っても、節税対策によって受けられる恩恵は大きいため、以下の3つの節税対策を取り入れることをおすすめします。

 

●会社や従業員に対して投資を行う

●経費を漏れなく計上する

●繰越控除を活用する

 

【1.会社や従業員に対して投資を行う】

会社や従業員に対する投資とは、以下のような費用のことです。

 

・従業員の資格取得費用:教育研修費

・従業員の健康診断にかかる費用:福利厚生費

・社員旅行にかかる費用:福利厚生費

・設備導入にかかる費用:消耗品費、減価償却費

 

上記のような費用を増やした場合、従業員のモチベーションの向上やスキルアップ、会社の生産性アップによる売上向上が期待できます。一定の条件を満たしていれば、上記の費用は経費に計上できるので、節税しながら業績向上を図れるでしょう。

 

【2.経費を漏れなく計上する】

法人は個人事業主よりも経費に計上できる項目が多いです。何を経費として計上できるのか理解できておらず、計上漏れがあった場合は無駄に課税されるので注意してください。

 

以下のような費用も経費として計上できます。

 

・従業員の住居費用

・会社で使用する車にかかる費用

・従業員に支払う給与や賞与

・不要な在庫を処分した費用

 

計上できる経費を漏れなく計上することで課税所得が減れば、納める税額を削減することが可能です。ただし、何でも計上すればいいというものではありません。計上できないものや計上できる金額以上に経費を計上すると、税務調査で指摘されるので注意が必要です。

 

【3.繰越控除を活用する】

繰越控除をうまく活用すれば節税につながります。繰越控除とは、赤字を翌年以降の黒字と相殺することです。

 

例えば、2021年が1,000万円の赤字、2022年が300万円の黒字、2023年が600万円の赤字のケースでは、2022年と2023年の両方の黒字を2021年の赤字で相殺できます。

 

法人に認められる繰越期間の最長は最長で10年となっており、上記のケースで残っている100万円の赤字は2024年以降に持ち越すことが可能です。

 

また、持ち越すだけでなく、繰り戻すこともできます。例えば、2023年は500万円の赤字、2022年は300万円の黒字の場合、前年の黒字を赤字で相殺できるのです。

 

赤字が発生した場合でもうまく繰越控除を利用することで、利益が発生した場合の税負担を軽減できるでしょう。

「誤った節税方法」には要注意

会社員、個人事業主、法人ともに所得税(法人税)に節税対策をうまく取り入れることで、税負担を軽減することが可能です。

 

節税方法を誤った場合、税務調査で指摘されてペナルティの対象となる可能性もあるため、正しい納税・節税の知識を身につけるまたは税の専門家である税理士に相談しましょう。

 

 

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