「会社員向けの節税対策」は主に3つ
会社員向けの節税対策として、所得控除や税額控除、税制優遇制度を活用するという手段が挙げられます。
所得控除と税額控除の違いは控除を行うタイミングです。所得控除は税率を乗じる前の課税所得から控除しますが、税額控除は算出した税額から直接控除します【図表】。
どちらの方法も税額が減りますが、税額から直接控除できる税額控除のほうが大きな節税効果が期待できるでしょう。
会社員向けの節税対策①税額控除を活用する
税額控除とは、課税所得に税率を乗じて算出した所得税額から一定額を控除するものです。税額控除には様々な種類がありますが、身近なものとして以下のものが挙げられます。
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●配当控除
●寄付金特別控除
●住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
●外国税額控除
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会社員向けの節税対策②所得控除を活用する
所得控除とは、課税所得を算出する際に、各納税者の個人的事情を加味するために差し引く控除です。身近な所得控除には、以下のものが挙げられます。
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●医療費控除
●社会保険料控除
●小規模企業共済等掛金控除
●生命保険料控除
●地震保険料控除
●寄附金控除
●ひとり親控除
●配偶者控除
●扶養控除 他
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会社員向けの節税対策③税制優遇制度を活用する
資産運用によって所得が増えると、通常はその所得に対しても税金が課されます。しかし、税額優遇制度を活用すれば、納める税金を減らしながら資産を形成することが可能です。
主な税制優遇制度として、確定拠出年金とNISAが挙げられます。
■確定拠出年金
確定拠出年金とは、加入者自身が資産を運用することで公的年金を補完するものです。確定拠出年金には、個人型(iDeCo)と企業型があります。
個人型(iDeCo)とは、国民年金基金連合会が実施する制度で、原則20歳以上60歳未満の全ての方が加入できる年金です。個人で加入して、本人が掛金を拠出します。
企業型とは、事業主が主体となって実施する制度で、その企業に勤務する従業員が加入できる年金です。掛金は事業主が拠出する以外に、規約に定めがあれば加入者が一定の条件で上乗せした掛金を拠出することも可能です。
確定拠出年金を取り入れた場合、加入者が支払った掛金は全額小規模企業共済等掛金控除の対象となり、かつ運用収益が非課税になるほか、受け取り時には公的年金等控除や退職所得控除が適用される等の恩恵があるため、税負担を軽減しながら老後資金を確保できるでしょう(参照:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」)。
■NISA
2023年までのNISAは以下の3種類となっています。
●一般NISA
●つみたてNISA
●ジュニアNISA
一般NISAとつみたてNISAは年単位で選択できるもので、2023年1月以降は18歳以上が利用可能です。ジュニアNISAは20歳未満が利用できるNISAですが、成人年齢の引き下げにより2023年末で制度が終了します。
2024年からのNISAは以下の2種類となります。
●つみたて投資枠
●成長投資枠
令和5年の税制改正大綱において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されました。
新制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能となり、対象年齢が18歳以上、非課税保有期間が無期限化となっています。
株式や投資信託などの金融商品に投資した場合、本来はこれらを売却して得た利益や配当に対して約20%の税金がかかります。しかし、NISAであれば一定の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になるため、所得税の負担を抑えることが可能です(参照:金融庁「NISAとは?」)。
まとめ
税額控除や所得控除を活用すれば、所得税の負担を軽減できます。これらの控除は自動的に適用されるものではないため、適用漏れがないか確認しておきましょう。
また、税制優遇制度を活用して資産運用することによって、税負担を抑えながら資産を増やせる可能性があります。制度を活用するには条件を満たさなくてはならないので、事前に条件を確認しましょう。
次回は、個人事業主向けの所得税の節税方法について解説します。
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