個人事業主とは?
個人事業主とは、企業や団体といった組織に属しておらず、かつ法人を設立せずに事業を営む個人のことです。
一度だけ物を販売する行為は事業とは言えず、反復・継続して行う必要があります。また、個人で企業から継続的に依頼を受けているフリーランスも個人事業の一種になります。
個人事業主になるには、所轄の税務署に開業届を提出するだけです。
個人事業主の節税方法
個人事業主の所得は事業所得に分類され(不動産業を除く)、課される所得税は累進課税となり、所得が増えるほど適用される税率が高くなる仕組みです。
個人事業主としての所得が多いほど所得税の負担が大きくなるため、節税対策を取り入れる必要性が高いと言えます。
個人事業主の主な節税方法として、以下の3つが挙げられます。
●青色申告で申告する
●家事按分を活用する
●小規模企業共済に加入する
【1. 青色申告で申告する】
確定申告の方法には青色申告と白色申告の2種類がありますが、青色申告を利用すれば税制優遇の恩恵が受けられます。
青色申告には以下のような税制優遇があります。
・青色申告特別控除:最高65万円の所得控除を利用できる
・青色事業専従者給与:一緒に事業を営む家族に支払う給与を経費に計上できる
・純損失の繰越し:赤字となった所得を翌年度以降3年間繰越せる
・純損失の繰戻し:赤字となった所得分の税額を前年度に収めた税金の一部から還付を受けることができる
・30万円未満の減価償却資産の一括計上:固定資産にかかる費用を一度に経費計上できる
青色申告で申告するためには、青色申告をしようとする年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出しなくてはなりません。青色申告では、複式簿記による帳簿の提出やe-taxを利用した確定申告書の提出等が求められるため、会計知識も深めておきましょう。
【2. 家事按分を活用する】
家事按分とは、プライベートと事業の両方で生じた支出がある場合に、業務利用分を計算し、その分を経費として計上することです。
個人事業主の中には、自宅の一部を事務所として使っている方やプライベートと仕事で同じパソコンを使っている方も多いと思います。そのようなケースでは、家賃や通信費といった費用を使用割合に応じて按分できるのです。
具体的には、以下のような費用を家事按分できます。
・家賃
・水道光熱費
・通信費
・自動車関連費
・減価償却費
・租税公課
・支払利息
・保険料
例えば、床面積50m2で、家賃10万円のマンションの20m2を事務所として使っていた場合は「20m2÷50m2=0.4」となり、40%を事業用として使っていることになります。
そのため、家賃10万円のうち40%の4万円を経費として計上できます。持ち家であっても、家事按分に基づいて建物の減価償却費や固定資産税、住宅ローンの金利、火災保険料などを按分することが可能です(住宅ローン控除を受けている場合は要件を満たさなくなる可能性がありますので注意しましょう)。
家事按分はまったく計上しない場合と比べて大きな節税効果が期待できますが、計上できるのは事業用として使用している割合までです。
節税効果を高めるために事業利用割合を配慮せずに経費計上した場合、税務調査で指摘を受ける恐れがあるので注意が必要です。
【3. 小規模企業共済に加入する】
退職金制度を設けている会社に勤めている会社員は、退職時に規定に定められている退職金を受け取ることができます。しかし、個人事業主や中小企業の経営者は、退職しても退職金というものを受け取れません。
小規模企業共済とは、そのような個人事業主や中小企業の経営者が、退職金の代わりとして積み立てをするための共済保険です。小規模企業共済の月々の掛金は、1,000円~7万円の範囲内で自由に設定できます。掛金の金額は、小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除とすることが可能です。
また、小規模企業共済に加入していると、それまでの掛金の一定割合まで貸付を受けられます。売上が減少した際や経営状態がひっ迫した際にも迅速に資金を調達できます。
「個人事業主向けの方法」で正しく節税
会社員と同様、個人事業主も所得税は累進課税となっており、所得が増えるほど適用される税率が高くなる仕組みです。そのため、個人事業主としての所得が増えるほど所得税が多く課されるため、節税対策が有効です。
個人事業主の場合、会社員向けの節税方法ではなく、個人事業主特有の節税方法を選択する必要があります。税務調査で指摘を受けないためにも正しい節税方法を取り入れましょう。
次回は、おすすめの法人向け節税対策について解説します。
ネイチャーグループ