いまだ底の見えない円安…日本円をドルでもつだけでも有益
実際にはあり得ないことですが、仮に運用成績が0%であったとしても、資産を日本円ベースでのみ保有している場合と、各国の通貨に分散して保有している場合とでは、数年後の価値は大きく違ってきます。
ここで分散先の一番手に挙げられるのは、やはりドルです。2008年のリーマン・ショックから16年あまりが経ちましたが、ドルが依然として世界の基軸通貨であることに変わりはありません。今後、ドルに対して円安がさらに進むとなれば、まずは日本円をドルに変えておくだけで、為替差益を見込むことができます。
現在の為替相場について、「これ以上円安が進むことはない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、イギリスの通貨ポンドも、かつては1ポンド1,000円というポンド高の時代があったのです。それが今では1ポンド185円前後ですから、ポンドの価値は大きく下がっています。したがって、これを超える大きな変化が日本円に起きても、決しておかしくはありません。
また、ドルを保有し、ドルで投資を行えば、手数料の大幅な節約にもつながります。投資の度に日本円に替えていると為替手数料がかかるので、まずドルでリターンを得て、そのドルで投資するのを基本と考えておくとよいでしょう。
資産形成は「強い通貨」で運用するのが鉄則
ドルの次に通貨を選ぶとしたら、欧州20ヵ国で単一通貨として使用されているユーロです。2009年の欧州債務危機によって評価を下げ、2020年にはイギリスがEUから離脱する(ブレグジット)などの不安を抱えてはいますが、ドイツ、スウェーデン、オランダ、フィンランドなどは安定しています。
ドルとユーロという2大国際通貨に加えて、安定性と信頼性抜群のスイス・フランの3つの通貨へ分散しておくのが、理想的な通貨分散のスタイルだと言えるでしょう。スイス・フランは、ドルが通貨価値を下げるときにも強いと言われ、金(ゴールド)と同じように、「経済危機に強い」という特徴を持っています。
株式や債券に投資をする場合も、投資先の国や地域を分散することが大切です。
いくら新興国の経済が好調といっても、その国の企業のみに投資をするのは非常にリスキーであり、一部先進国の企業も組み入れる形が望ましいでしょう。たとえば、一時期は著しい経済成長をつづけていた新興国でも、現在では破綻してしまっている企業が少なくありません。
そうした企業に集中して投資をしてしまっていれば、資産は一挙に失われてしまいます。そうはならないためにも、その時々の経済情勢を踏まえながら、分散投資を考えていく必要があります。
どのように資産を分散させるかは、実は正解があるものではありません。なぜなら、人によってリスクの許容度が異なるからです。すでに大きな財産を持っている人であれば、リスクをとらずに財産を極力減らさないようなスタイルの分散投資でもいいでしょうし、逆に積極的に増やしていきたければ、株式などボラティリティ(値動き)の大きなものに集中して投資することも考えられます。
髙島一夫
株式会社T&T FPコンサルティング
代表取締役社長CFP
髙島宏修
株式会社T&T FPコンサルティング
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西村善朗
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