(3)2億8,000万円の物件がたった1ヶ月で7,000万円の利益
3件目は同じく新宿エリアの物件です。
新宿区はいびつな形状をしています。北は目白の一部から南は表参道の手前、東は皇居や靖国神社の手前までと広いため、同じ新宿エリアでもさまざまな種類の事例があります。
この物件は新宿駅付近にある新宿御苑(かつて大名屋敷だった跡地に造られた公園)駅から徒歩3分、築35年、7階部分、1フロア50坪の区分オフィス1億7,500万円の物件です。
購入したのは産業廃棄物業を営む一般企業。長期保有予定ではありましたが、本物件はいろいろな意味でレアケースの塊でした。なんと、この物件は購入して1ヶ月で売却されたのです。
そのときの売却額は2億5,000万円でした。つまり、たった1ヶ月で7,000万円の利益が出たことになります。
本来、短期の売買で儲けるより長期保有で安定収入を得てもらいたいと考えます。ですが、購入した区分に入っていたテナントの事情で、本来はしない予定だった物件の契約更新をすることになったのです。そこで賃料アップの交渉を行いました。それによって物件としての価値が上がりました。
ビル投資の世界では、区分所有であっても一棟であっても、クライアントのタイプは大きく3つに分けられます。投資金額を「1億円までで考えている人」「2~4億円くらいで考えている人」「10億円以上で考えている人」です。
中でも2~4億円(3億円前後)の物件が一番レアです。決して存在しないわけではないですが、2~4億円の一棟ビルを買う場合、失敗する可能性が高くなってしまいます。
すると区分所有の選択肢になるのですが、それでもレアなため、なかなか物件が出てきません。存在しても結局は「まとめ売りで6億円以上」という話になってきやすいのです。
しかし、この物件は先述の賃料アップの交渉により、2億5,000万円で値付けできることがわかり、かつ、そのくらいの物件で投資を考えている買い手が存在していました。
さらに、所有者がM&Aをすることになり、緊急で資金が必要になりました。M&A用の資金を準備するためにも、本来は長期保有をするつもりだった物件を売却してM&Aの資金に充てることにしたのです。
不動産にはこういった予想外のこともあるので、一概には良し悪しを決められないといういい例です。
ここでは3つの事例をご紹介してきました。それぞれにポイントがありますが、少し工夫
をするだけで利益が大幅にアップすることは共通しています。
青木 龍
株式会社Agnostri(アグノストリ)代表取締役社長
※本記事は『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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