出来高
出来高とは売買が成立した株数のことをいいます。出来高が多ければ多いほど、その株の取り引きが活発に行われているということです。つまり出来高を見れば、投資家のその株に対する注目度がわかるというわけです。
ただし、出来高だけで売買の判断をすることはできません。必ず株価の動きとあわせて見るようにする必要があります。
■安値圏での出来高急増は「買い」のサイン
人気のない株が安値圏で急増したときは、買いサインと考えてください。
普段、注目を集めることのない株の出来高が増えているということは、それなりの理由があります。何らかの材料が出て買いたい人が大勢いるということだからです。
とはいえ、一時的なものでもある可能性があるので、注意が必要です。こちらに関しては、『会社四季報』のチャートからも読み取ることができます。
もっと注意しなければいけないのが、大型株の出来高が高値圏にあるにもかかわらず急増した場合です。買いたい人が大勢いる一方で、利益を確定するための売りが大量に出ている可能性があります。
そんなときにつられて買ってしまうと、株価がピークに達する可能性が高く、いわゆる「高値づかみ」になってしまいます。
テクニカル分析指標(移動平均線)
テクニカル分析とは、過去の市場の動きを分析することによって、将来の市場の動きを予想する方法です。
テクニカル指標をチャート上に表示することによって、相場の節目やトレンド、売買のタイミングなどを分析することができます。
テクニカル分析に役立つ指標はいくつもありますが、今回はもっともわかりやすい移動平均線についてご説明します。
移動平均線とは、一定期間の株価の平均を結んだ線のことをいい(図表1)、ローソク足とあわせて使うことで、トレンドや売買タイミングを予測するのに役立ちます。
![出典:auじぶん銀行「チャートの見方」をもとにSBクリエイティブ株式会社が作成](/mwimgs/1/5/550/img_15294a2c9809e36627339187d239e89981158.jpg)
移動平均線は、その期間によってさまざまな種類があります。
・日足(ひあし) 5日、10日、25日、75日、200日
・週足 13週、26週
・月足 12ヵ月、24ヵ月、60ヵ月、120ヵ月
これらのうち、一般的にトレンドを見るのに使われるのは次の期間です。
・短期トレンド 5日、25日、75日
・中期トレンド 13週、26週
・長期トレンド 12ヵ月、24ヵ月
■「買い」を示すゴールデンクロス、「売り」を示すデッドクロス
移動平均線が表すシグナルのうち、トレンドの転換点として比較的初心者の方でもわかりやすい「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」についてご説明します。
![出典:日本証券業協会 投資の時間「移動平均線」](/mwimgs/3/f/550/img_3fa21ec8858a0dceb8d7ecbc7df8838b52171.jpg)
ゴールデンクロスとデッドクロスは、ともに移動平均線によって示されるトレンド転換のポイントです。
ゴールデンクロスは、短期移動平均線が中期・長期移動平均線を下から上に突き抜けることで、上昇トレンドへの転換の可能性を示します。これが出たら「買い」のタイミングのシグナルと考えてください。
逆にデッドクロスは、短期移動平均線が中期・長期異動平均線を上から下に抜けることで、下降トレンドへの転換の可能性を表しています。これが出たら「売り」のタイミングのシグナルといえます。
みなさんもぜひ『会社四季報』のチャートを見ながら、ゴールデンクロスやデッドクロスを探してみてください。
実際に自分で調べてみることで、知識が身につきやすくなります。一見するととっつきにくいテクニカル分析が身近に感じられ、「もっと高度な分析方法を知りたい」と思うようになっていくことでしょう。
渡部 清二
複眼経済塾 代表取締役・塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券株式会社入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。26年以上継続しており、2023年秋号の『会社四季報』をもって、計104冊を完全読破。
近著に『会社四季報の達人が全力で選んだ 10倍・100倍になる! 超優良株ベスト30』(SBクリエイティブ)、『株主総会を楽しみ、日本株ブームに乗る方法』(ビジネス社、複眼経済塾としての書籍でもある)などがある。
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