景気と株価サイクルとの関係
景気にサイクルがあるように、株価にもサイクルがあります。株式投資をする上ではこのことをよく理解しておくことが大切です。
また、株式市場は景気サイクルに先駆けて動くのに対し、消費者が景気の変化を実感して対処するのは後の話になります。
景気動向指数においては、東証株価指数が先行指数に含まれているのに対し、家計消費支出や消費者物価指数が遅行指数に入っているのはそのためです。
押さえるべき「4つの相場」
【①金融相場】
株価が上がる局面で最初に現れるのが「金融相場」です。景気が悪いと、中央政府は金利水準を引き下げます。景気を下支えするために金融緩和によって市場に大きなお金が供給されるため、それが株式市場にまで流れ込んで株価が上昇します。
金融政策による相場なので、マクロ要因による業績は伴わず、俗に「不況下の株高」といわれ、全体的に株価の水準を切り上げるものです。
【②業績相場】 ★24年5月時点の局面はココ
次に出てくるのが「業績相場」です。金融緩和の効果で企業業績が回復し始めます。この局面では、個別銘柄の業績など、ミクロ要因を背景に株価が上昇することが多くなります。金融相場では割高と感じられた株価指標も、企業業績という実態が伴ってくることによって相応の感が出てきます。
このとき買われるのは、景気敏感株といわれる銘柄で、化学、鉄鋼、非鉄金属、電気機器、輸送機器、機械、精密、商社などが該当します。
【③逆金融相場】
業績相場が拡大し過ぎると、政府は金融引き締めにかかります。このときに出現する相場が「逆金融相場」です。金融相場と逆で市場からお金が引き上げられるため、全体的に相場が下がります。この局面で買うとしたら、金利が上昇しても業績に影響に出にくいバランスシートが健全な会社の株でしょう。
【④逆業績相場】
金融引き締めによって、景気も企業業績も悪化したときに現れてくるのが「逆業績相場」です。
このとき買われるのは、景気悪化の影響を受けない医薬品やインフラ、生活必需品などです。景気が悪くても病気になれば薬は買いますし、電気も消費します。洗剤やトイレットペーパーなども使うでしょう。これらの銘柄は「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれます。
また、銀行などのように、金利上昇が収益増につながる銘柄にも注目が集まります。
渡部 清二
複眼経済塾 代表取締役・塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券株式会社入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。26年以上継続しており、2023年秋号の『会社四季報』をもって、計104冊を完全読破。
近著に『会社四季報の達人が全力で選んだ 10倍・100倍になる! 超優良株ベスト30』(SBクリエイティブ)、『株主総会を楽しみ、日本株ブームに乗る方法』(ビジネス社、複眼経済塾としての書籍でもある)などがある。
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