これだけはチェックしたい「4つの数字」
気になる銘柄が見つかったら、数字データも見ていきましょう。必ずチェックしたいのは次の4つの数字です。
①自己資本比率
②営業キャッシュフロー
③売上高
④営業利益率(営業利益÷売上高×100で算出)
①自己資本比率
~最低でも「30%以上」。大きいほど健全な会社
会社のすべての財産の中で、負債(借入金)以外の会社自らが作り出したお金が自己資本です。自己資本比率が高ければ高いほど、会社の健全性は高くなります。
一般家庭に置き換えてみるとわかりやすいでしょう。立派で価値の高い家に住み、年収も高くて、家を含めた総資産額が2億円あったとしても、住宅ローンが1億4000万円あったら、その家の経済状況は健全とは言えませんよね。会社もそれと同じです。そのため、自己資本比率が重要なのです。
健全度の目安は、最低で30%以上。もちろん大きければ大きいほど健全度は高くなります。
②営業キャッシュフロー
~「プラス」なら健全に経営できている会社
営業キャッシュフローはお金のやりくりなので、その会社が本業でお金を稼げているのかいないのかがわかります。そのしくみはいささか複雑なので、ここではごく簡潔にまとめてご説明することとします。
結論から言うと、営業キャッシュフローがプラスになっていれば会社として健全な経営ができているということです。逆にマイナスになっていれば、本業でお金が回っていない状態になっていることを示します。
③売上高
~大化け銘柄を狙うなら「伸び率15~20%以上」が目安
売上高は、その会社が提供している商品やサービスが売れた額の合計です。時系列に並んだ売上高を見ることで、この会社がこれまでどういう売上高の伸ばし方をしてきたか、あるいはどのように減少してきたかを見ることができます。なお、売上高が増加するのを増収率といい、これが正に「成長率」となります。
前期から今期の成長率は、簡単な計算で出すことができます。
◆(今期の売上高÷前期の売上高×100)-100=成長率(%)
2023年秋号では、合計3607社の今期(23年7月期~24年6月期)の伸び率は2.3%で、これが市場の平均値と考えてよいです。なお、株価が10倍になるテンバガーを狙う場合は、15~20%以上を目安とするといいでしょう。
④営業利益率
~10%以上なら「優良企業」だが、なんと「50%超の企業」も実在
営業利益とは、売上高から売上原価を引いた売上総利益(粗利)から、広告宣伝費と人件費(販売費)を差し引いたものです。事業を運営するために最低限のコストを引いたもので、本業の利益とも呼ばれ、とても重要な数字です。
この数字が売上高に対してどれくらいの割合なのかを見るのが「営業利益率」であり、会社が本業で稼ぐ力を示していて、複眼経済塾ではこれを「優良性」と言っています。
営業利益率は『会社四季報』には記載されていないため、自分で計算する必要があります。とはいえ、簡単な計算なので安心してください。
◆営業利益率(%)=営業利益÷売高×100
全上場企業の平均営業利益率は7%程度なので、10%以上ある会社は優良企業と言えるでしょう。
10%で優良企業の仲間入りだというのに、実に営業利益率50%以上を誇る驚異の会社があります。本書第1章で野村證券の株価との比較で例に出した、FAセンサーなど検出・計測制御機器大手のキーエンス(6861)です。
2023年3月の営業利益率は、
498914÷922422×100≒54
実に54%にも上ります。
キーエンスは日本の上場企業の中で、最も平均年収が高いことで知られており、『会社四季報』の年収の欄には2023年3月時点(本書執筆時点)、2279万円と記載されています。
日本の上場企業の平均年収は約600~650万円なので、約3~4倍です。利益の出ている会社のすごさを実感させてくれる数字ですね。
渡部 清二
複眼経済塾 代表取締役・塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券株式会社入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。26年以上継続しており、2023年秋号の『会社四季報』をもって、計104冊を完全読破。
近著に『会社四季報の達人が全力で選んだ 10倍・100倍になる! 超優良株ベスト30』(SBクリエイティブ)、『株主総会を楽しみ、日本株ブームに乗る方法』(ビジネス社、複眼経済塾としての書籍でもある)などがある。
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