(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦のいずれかのみが家計を管理している場合、高齢となりどちらかが先に亡くなってしまうと、残された側は窮地に立たされるかもしれません。本記事ではAさんの事例とともに、高齢期のマネーリテラシーの重要性について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子FPが解説します。

「お金貸して…」友人に借金し続ける理由

「あら?」ある日Aさんは、年金が振り込まれている通帳をみると、残高がほとんど残っていないことに気がつきました。

 

「想定外のお金がかかったのかしら」

 

不思議に思いつつも、次の年金振込日まで貯蓄から補填しなければと、金融機関にいきます。その後も次の年金振込日まで、ひと月分の生活費が不足するような生活を送りました。その都度、金融機関に行くのも面倒と、「お金貸して」と同じマンションに住む長年の仲良しの友人に借金をするようになります。

 

老後破産の高齢者が多い理由

2020年日弁連破産事件および個人再生事件記録調査によると、年齢別の破産割合は70歳以上で9.35%を占めています。60歳代では16.37%と、老後破産する高齢者が多いことがわかります。

 

老後破産のリスクがある高齢者の特徴としては次のことがあげられます。

 

・家計の収支を把握していない

・貯蓄金額が少ない

・生活水準が変えられない

・固定費が高額である

・子どもや孫にお金をかけすぎている

 

Aさんの現状は上記に当てはまる項目が多かったのです。

 

タワマンの管理費等は一般のマンションと比較して高く設定されています。Aさんのタワマンでは約5万円。これに加えて水道光熱費、携帯代金等……固定費だけで年金の半分は消えていきます。

 

また、夫の死後、個人年金の受け取りは死亡時未支払年金受取人として設定してあったAさんが受け取っていましたが、Aさんが75歳になったタイミングで受け取り期間が終了したのです。

 

さらに食料品は産地から取り寄せ、奥様同士(友人)との交際費、友人とのおしゃべりの最中に勧められた美容や健康のための諸出費など、現役時代からそれなりにかかっていましたが、夫がお金の管理をしていたので、きりもりできていました。おひとりさまになり、時間を持て余すことが増えたことから、Aさんの浪費は増えていったのです。

 

Aさんは、夫と2人で暮らしていたときと同じ生活を送っていても2人が1人になったのだから、お金は余るだろうと思い込んでいました。しかし、タワマンでの優雅な生活では、夫の死後から5年もすると貯蓄が底をつくでしょう。

 

さらにAさんは大きな勘違いをしていたのです。

 

「え? 2ヵ月に1回だけ?」

 

次ページ想定外の「2ヵ月に1回」

※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
※参考:日本年金機構「遺族年金の制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/index.html)

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