探偵の行動調査はリスク回避策として有効?
このような会社の危機を救うためのリスク回避策として、探偵の行動調査は非常に有効です。会社を辞めた元共同経営者や元幹部が、競合他社への転職を考えている場合、転職先の幹部と会食をすることが多いからです。
行動調査を行い、誰と会っているかを確認すれば、どの会社への転職を考えているかがわかります。また、このようなケースでは、会社のPCからデータを持ち出す可能性が高いため、スマホやパソコンの操作履歴を読み取るデジタル・フォレンジックという技術を利用した調査を併用することもあります。デジタル・フォレンジックを用いた調査では、スマホやパソコンの消去されたデータを復元して読み取ることも可能です。
Aさんの裏切り行為が行動調査で明らかに
北村さんは、Aさんが退職する本当の理由を知るためには、探偵による行動調査が必要だと判断しました。北村さんから依頼を受けて、Aさんの行動調査を実施したところ、以下のことが明らかになりました。
・高級料亭で競合他社の幹部と会食していた
・個室居酒屋で顧客と会食していた
・居酒屋で女性と食事した後、ホテルで過ごしていた
一緒にホテルに入る女性の写真を見て、北村さんは「この人はまさか……」と顔を歪めました。この女性は競合他社の従業員だそうです。
状況証拠ではありますが、Aさんの行動をみる限り、Aさんの退職の本当の理由は、実家の母親の介護ではなく、競合他社への転職である可能性が濃厚だといえます。
北村さんは、調査の結果を受けて、目に涙を浮かべていました。その後、Aさんと直接話をすることを決意しました。Aさんに、競合他社の幹部との会食や、同社の女性社員との密会についての噂を聞いたと伝え、「もし転職を考えているなら、考え直してほしい」と自分の気持ちを素直に伝えました。
Aさんは、北村さんの話をほとんど無言で聞いていたそうですが、その後しばらくして、競合他社への転職を考え直すことを約束してくれたそうです。
「何かおかしい」…嫌な予感は的中する?
長く一緒に働いてきた仲間が突然退職を申し出たとき、その理由について「何かおかしい」「本当は違う理由があるのでは?」などと感じた場合、その嫌な予感は的中していることが多いです。しかし、「長年、苦楽を共にしてきた仲間に裏切られるなんてあり得ない」、「大切な仲間を信じたい」という気持ちが、正常な判断の邪魔をします。
今回ご紹介したケースのように、行動調査を行って真実を知ることは、将来起こり得る重大なリスクを回避して会社を守ることにつながります。
大切な仲間を疑いたくないために、誰にも相談できず一人で悩みを抱えてしまう方は多いと思いますが、リスクを回避するためにも一人で抱え込まずに信頼できるプロに相談することが大切です。
若梅 秀孝
MJ リサーチ綜合探偵社
取締役
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