文科省が大学認可を乱発するなどした結果、少子化により大学進学人口が減っているにも関わらず、大学の数は増え続けています。その結果、教育の質は悪くなり、約4割が入学定員割れといった状況が浮き彫りになっています。本記事では、山田順氏の書籍『日本経済の壁』(エムディエヌコーポレーション)より、日本の大学が抱える課題について解説していきます。
大学の赤字を学生ローンで学生に付け回し
それにしても、少子化で進学する者が減るのに合わせ、なぜ大学を減らさなかったのだろうか? 経営が成り立たないのなら、資本主義なのだから自然淘汰に任せるのが自然であり、それがルールだ。
ところが、日本という国は社会主義国家であるため、なんでもかんでも公的資金で救ってしまう。さらに、官僚たちは自分たちの天下り先が確保できるので、新設大学をどんどん認可してきたのである。しかも、「奨学金」という名の「学生ローン」(借金)で、学生に入学金、授業料を払わせ、赤字を付け回している。
少子化で大学入学年齢の18歳人口が減っているのに、大学数は増え続けている。30年前の1992年18歳人口は約205万人で大学数は384校。それが2023年は約112万人なのに793校である。
これでは、有名人気校を除いてどの大学も経営が苦しくなるのは当然。現在、3人に1人の学生がローンを背負っているとされ、返済できなくて自殺者まで出ている。学生ローンは学生のためにあるのではない。経営苦の底辺大学を生き延びさせるためにあるのだ。
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、光文社に入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年、『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長を務める。2010年より、作家、ジャーナリストとして活動中。主な著書に、『出版大崩壊』(文春新書)、『資産フライト』(文春新書)、『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP研究所)、『永久属国論』(さくら舎)などがある。翻訳書には『ロシアン・ゴットファーザー』(リム出版)がある。近著に『コロナショック』、『コロナ敗戦後の世界』 (MdN新書) がある。
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