授業では「つながり」を押さえる
極端な話、授業を聞かなくとも具体の結論は全部テキストに書いてあります。だから、結論だけを押さえるなら、授業なんて一切受ける必要はないのです。結論を導き出すための解き方だけにマーカーを引いて確認すればよいのです。
しかし、理解が弱い人は、授業中に説明された大きな考え方と具体のつながりは聞き逃し、結論だけを頑張って押さえて、マーカーを引いて覚えるのです。だから、丸暗記になってしまうのです。
授業では、「だから、こうなるんだ」、「つながっているんだ」という説明を注意して聞くことができていないと意味がありません。
マニュアル人間という言葉がありますが、こういうタイプの人は結論だけ押さえている傾向にあります。そもそもなぜそういうマニュアルになっているのかという目的意識がないのです。
「だって、マニュアルにこう書いてあるんですよ」というように、常にマニュアル通りの型で対応してしまうのです。
それこそ、イレギュラーな出来事が起きた時に必要なのは応用力です。その力がなければ、時代が変化した時にそのマニュアルを変える力もありません。
「以前からこういうルールでやっているので」、「前例がこうなので」という言い分は、目的や変化に対する思考停止状態です。
「なぜ」を放置しない
簿記や会計の学習では、「なぜ貸借対照表と損益計算書は左右で一致するのか」、「なぜ決算整理仕訳は期末に行うのか」、「なぜ簿記の5要素はこの要素で表現するのか」などということに対する1つひとつの理由もきちんと理解していれば言葉にできるはずです。
逆に、その理由を「そういうものだから」と覚えてしまっているのでは説明ができません。ロジックが説明できないのであれば、それは理解ができていないことなので、そこを確かめる必要があるのです。
これが、どうしても独学では難しくなる要素です。自分で確かめられないのであれば、授業を受けたり、質問をしたりすることで、「なぜここってこうなの」というポイントを確かめる必要があります。
この「なぜ」がわかっていないことを放置せずに、ロジックのつながりやその根本のところを丸暗記しないことです。根本を丸暗記してしまうと、その下に広がる論点も丸暗記になってしまうからです。
ただ、最後の枝葉であれば、最悪の場合、覚えてしまってもかまいません。なぜなら、あまり他に影響しないので、結論だけを覚えてしまっても害は少ないためです。
しかし、木の幹に近ければ近いほど、正しく理解しないと、そこから広がるすべての枝葉に影響を及ぼすことになります。
だから、複式簿記の原理や連結ってそもそもどう考えるのかといった部分をクリアにしておく必要があります。
「連結会計が苦手です」という相談は究極のところ、「何がわからないのかさえわからない」という状況です。つまり、構造化を諦めて、「何がわからないのかもわからない」ので質問もできないということになってしまいます。
連結会計の構造を捉えて、「ここはわかっているけど、ここはわからない」と言えれば、苦手な部分を潰せばよいわけです。
国見 健介
CPAエクセレントパートナーズ株式会社 代表取締役
公認会計士
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