同じ資格試験の勉強を行っていても、授業の受け方によって結果に大きな差が出るものです。試験に受かる人と受からない人のあいだにはどのような違いがあるのでしょうか? 本記事では、CPAエクセレントパートナーズ株式会社代表取締役の国見健介氏による著書『一生モノの「学ぶ力」を身につける:国見流結果を導く会計学習メソッド』(中央経済社)から、公認会計士資格試験を例に、試験勉強や資格勉強で役立つ「学び方」について解説します。

授業では「なぜ」を聞く

授業を受けるのは、「なぜそうなっているのか」というつながりを理解するためです。つまり、大きな考え方(そもそも論)と具体のつながりを理解するために聞くものです。

 

だからこそ、授業を受ける際には、大きな考え方を意識して説明を聞く姿勢が大切です。授業では、どうしても具体を学ぶことが多くなります。そのため、必ず自分でその大きな考え方が何かという思考を持って、具体と抽象の行き来を繰り返すのです。

 

それを意識していないと、「わかったつもり」の状態で授業が終わってしまいます。さらには、復習する時にも、「大きな考え方がこれで、具体がこれで、つながりはこうなんだ」というようにロジックを組み立てましょう。

 

「本当に理解しているのか」を自分自身で振り返らないと、難関試験ほどわかったつもりの状態で次々に新しい具体を学ぶことになります。簿記を学んだ人であれば、複式簿記の原理は、必ず聞いたことがあるはずです。

 

しかし、授業を聞き流していたり、具体とのつながりを考えていなかったりして、大きな考え方をすっかり忘れたということになります。

 

そうすると、授業中にはわかったつもりになっていたけれども、いざいろいろな演習問題を解こうとしても、わからない・できないという現象に陥りやすくなってしまうのです。

公認会計士試験に受かるには

簿記3級レベルであれば、市販のテキストで独学する人も多いです。その後、より上級の資格取得を目指して資格スクールを受講する人もいますが、その場合はもう一度、簿記3級や2級レベルの授業から受け直すことをお勧めします。

 

自分の理解が弱いところでも、 8割程度を理解できているのであれば、さほど時間をかけずに復習できます。

 

簿記3級や2級の内容を復習するときに、具体的な論点の処理1つひとつを押さえるのではなく、「この処理では何をしているのか」、「なぜ、それが適正な財政状態や経営成績の表示になるのか」といった、大きな考え方と具体を自分で結びつけることが目的です。

 

授業を受け直すだけが選択肢ではありません。この結びつけを自分でできてしまう人も中にはいます。思考力がもともと高い人は、そもそも論と具体のつながりを自分で気づける人も多いです。

 

ただ、相当難易度が高く、時間のかかることでもあるので、授業を受け直して講師から習うほうが効率的といえるでしょう。

 

パッと見でわかりやすそうな教材ほど、表面的な説明しかできていないこともあるので、それを自力で見抜くのは難しいかもしれません。少なからず、そういう復習時間を作ったほうが、その後に取り組む学習でつまずくリスクは低くなります。

 

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