(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の生活を支える公的年金。1円でも多くもらいたいものですが、想定外に年金が減額されてしまった……というケースは珍しくないとか。一体なぜでしょうか? 本記事では、金田さん夫妻(仮名/60代)の事例とともに、年金制度の注意点についてFPの小川洋平氏が解説します。

在職老齢年金の制度

公的年金を受給できる年齢になっても現役のころと同様の収入がある場合、金田さん夫妻のように厚生年金が減額されてしまうケースもあるため注意が必要です。

 

在職老齢年金の対象となるのは給与や役員報酬などですが、報酬の出し方を調整したり、別の名目で支出することで支給停止を免れることできます。

 

たとえば、金田夫妻さんの場合であれば一雄さんの役員報酬は32万円程度、文江さんの役員報酬は37万円に抑えれば、厚生年金分を加えても月額48万円を超えないため、支給停止されずに受け取ることができます。

 

当然、それだけ役員報酬を減らせば会社の利益が増えるために法人税が掛かります。この対策としては、役員報酬を減らす代わりに、企業年金制度を活用することで会社の経費でリタイア時に受取れる資産をつくったり、退職金として会社で積み立て、退職時に受け取ることで年金カットを免れ、税金や社会保険料の負担までも抑えることができます。

 

また、場合によっては法人を解散するなど個人事業主に戻り所得を得ることで厚生年金の支給要件には該当しないため厚生年金を全額受け取ることも可能です。

 

このように、報酬の受け取り方を調整するなどの戦略で厚生年金がカットされないだけでなく、社会保険料を低減させ手取りの収入を大きく増やすことも可能です。

 

今回は夫婦で事業を経営されている金田さん夫妻のケースをご紹介しましたが、定年の延長や無期限化を推進しているなか、60代後半で高い報酬を受け取っている会社員の方も在職老齢年金の制度に該当し、厚生年金が減額されてしまわないように注意が必要です。

年金減額が決まったあとに知る人も多い

今回は在職老齢年金の仕組みにより、厚生年金が全額支給停止となってしまった事例を紹介しました。

 

せっかく公的年金を受け取ることができる時期になったのに、年金をカットされてしまうこのような仕組みは、定年延長や労働力の確保を課題とする現状において、時代に合わない制度といえるでしょう。

 

そして、このような制度があることは事前に情報を受けられることは少なく、減額が決まったあとで知らされることが多いものです。

 

受け取り方を少し工夫することで減らされずに済むこともありますし、社会保険料も節約することで会社と個人の可処分所得をもっと増やすことも可能です。

 

65歳以降も高額な報酬を受取ることが多い法人の経営者や、現役世代と同等以上の収入を得られる方はこういった年金減額の仕組みがあることを知り、税制面なども加味しながら最適な報酬や受け取り方を検討することをお薦めします。
 

 

小川 洋平
FP相談ねっと

 

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