年金は長生きリスクに備え、考え方は人それぞれ
さらに追い打ちをかけるような出来事が。Hさんはこれまで、既往症がなかったことも理由のひとつに、繰下げを希望していましたが、70歳を目前に体調を崩し、繰下げに後悔しています。
「私はいままで大きな病気やケガをした経験がありません。具合が悪いことに身体が慣れていないんですよ。年を重ねてからの体調の変化は精神的にも落ち込みます。なんだか、あと10年以上も生きている自信がなくなってしまいましたよ」Hさんは肩を落とします。
しかし、受給前のいまなら65歳に遡って増えない年金5年分をまとめて受け取ることも可能です。これを知ったHさんは「請求は取り下げます!」と少し明るい笑顔を取り戻していました。
年金の受け取る時期は、その人の健康状態や経済状況にもよるので、長生きした場合は繰下げが得と思うのでしょう。
年金の受け取りには損得を考える人が多いですが、人の寿命は損得では考えられません。後悔するかどうかわからないのです。そのため、年金は長生きリスクに備えるものとし、受け取るタイミングを考えてみてはいかがでしょうか。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表
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