(※写真はイメージです/PIXTA)

年金の受給開始時期を遅らせることにより、受給額を増やすことができる「年金の繰下げ受給」。上限年齢は現状75歳、長生きリスクへの予防策にもなり得ります。しかし、メリットだけではなく、請求してから後悔する人も少なくないようで……。本記事では、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が、Hさんの事例とともに年金の繰下げ受給の注意点について解説します。

年金は長生きリスクに備え、考え方は人それぞれ

さらに追い打ちをかけるような出来事が。Hさんはこれまで、既往症がなかったことも理由のひとつに、繰下げを希望していましたが、70歳を目前に体調を崩し、繰下げに後悔しています。

 

「私はいままで大きな病気やケガをした経験がありません。具合が悪いことに身体が慣れていないんですよ。年を重ねてからの体調の変化は精神的にも落ち込みます。なんだか、あと10年以上も生きている自信がなくなってしまいましたよ」Hさんは肩を落とします。

 

しかし、受給前のいまなら65歳に遡って増えない年金5年分をまとめて受け取ることも可能です。これを知ったHさんは「請求は取り下げます!」と少し明るい笑顔を取り戻していました。

 

年金の受け取る時期は、その人の健康状態や経済状況にもよるので、長生きした場合は繰下げが得と思うのでしょう。

 

年金の受け取りには損得を考える人が多いですが、人の寿命は損得では考えられません。後悔するかどうかわからないのです。そのため、年金は長生きリスクに備えるものとし、受け取るタイミングを考えてみてはいかがでしょうか。
 

 

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表

 

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