今回は、不動産を担保に生活資金を確保できる「リバースモーゲージ」の概要について見ていきます。※本連載は、NPO法人ライフデザインセンターの編著、『旅立ちのデザイン帖―あなたらしい“終活"のガイドブック』(亜紀書房)の中から一部を抜粋し、「終活」に向けた各種の生前準備についてご紹介します。

「自身の死亡時」に借入金・利息を返済する仕組み

もし、生活費を抑えるなどの工面をしても必要な金額が足りなければ、不動産などを処分して生活資金を確保する必要があります。あなたがお住まいのご自宅以外に売却できる不動産があれば安心ですが、多くの人がいま住んでいるご自宅以外には不動産を持っていないのが現状です。そのときは、不動産を担保にして、生活資金を確保する「リバースモーゲージ」というサービスを利用することも考えられます。

 

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして銀行などの金融機関や自治体から借り入れをし、その借入金を年金として受け取るというものです。そして、あなたの死亡時に、担保物件(自宅)を処分し、借入金・利息を返済する仕組みになっています。このサービスを利用することで、一ヶ月あたり三〇万円以内のお金を貸し付けてくれます(死後に自宅の売却益で相殺されます)。

 

現金収入が少なく、自宅しか財産がない高齢者が自宅を担保することで、住み慣れた自宅に居住し続けながら、年金代わりにお金を受け取ることができるという仕組みです。

要保護世帯向けの「生活資金貸付の制度」も

リバースモーゲージは、公的機関によるものと民間の金融機関などがおこなっているものがありますが、代表的なものは各都道府県の社会福祉協議会が実施している「不動産担保型生活資金」の貸付制度です。

 

リバースモーゲージの条件は、原則として居住者が六五歳以上の世帯であることと、一軒家で暮らしていることです。子どもが同居している場合やマンションの場合は利用できません。注意しなければならないのは、宅地の評価額が一〇〇〇万円以上であること、遺産の相続人のなかから、連帯保証人になってもらう人を選ばなければならないという点です。土地の評価額が高い都会ではこの制度は利用しやすいですが、土地の安い地方ではむずかしい場合もあります。

 

リバースモーゲージとは別に、要保護世帯(この貸付を受けなければ、生活保護世帯になると福祉事務所が認めた世帯)向けの不動産を担保にした生活資金貸付の制度もあります。この場合は居住している不動産の評価額が五〇〇万円以上であることが条件で、連帯保証人はいりません。

旅立ちのデザイン帖 あなたらしい“終活"のガイドブック

旅立ちのデザイン帖 あなたらしい“終活"のガイドブック

NPO法人 ライフデザインセンター

亜紀書房

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