財産を「貯蓄」「不動産」「その他財産」に分類する
あなたはいま、どのくらいの財産を持っているかご存じですか?財産には有形・無形のものがあります。たとえば自分の人生を支えてくれるご家族や仲間は、お金では測ることのできない無形の財産です。また、現金や預貯金、土地などの不動産、株式や有価証券などは有形の財産です。
さきにご説明したように、老後を安心して暮らすためには、たとえ大ざっぱでもいいから自分の財産を棚卸しして、将来どのくらいのお金がかかり、自分にはどのくらいの資産があるのかを把握しておくことが必要です。そのために、貯蓄など「財産の明細」を作成することをおすすめします。しかし、書きだした自分の財産の一覧表を、他人が簡単に見られる場所においておくと、無用のトラブルを招きます。書きだした一覧表は、あなた自身と信頼できる人だけが知っている場所に大切に保管しておいてください。
以下では、なるべく簡潔な表の作例と記入方法をご説明しますが、「それでもやっぱりむずかしい……」という方や「もっと詳細な表をつくりたい!」という方は、あなたに代わって財産の明細などをつくってくれる方に依頼するという方法もあります(次回のお問い合わせ先をご覧ください)。
わたしたちは日常的に利用している金融機関は記憶していますが、若いころにつくった口座や、高齢期になって介護保険などを利用するためにつくった新しい口座など、意外にいくつもの口座を持っているので、頭のなかで覚えているだけだと、記憶力の減退とともに、どこの金融機関に自分の口座を持っていたのか、残高はいくらなのか曖昧になってきます。
そうした事態に備えて、自分の財産の棚卸しをしてみましょう。ここでは「貯蓄」「不動産」「その他財産」の三つに分類していますが、はじめは貯蓄を把握するだけでも大丈夫です。
ひとまず「貯蓄」がいくらあるかを把握・整理する
最初に「貯蓄」欄の書き方についてご説明しましょう。まず、あなたの貯蓄の種類をすべて書きだします。普通預金や定期預金などです。株式・証券や国債などを持っている方はそれも記入しましょう。
次に、右隣の「残高」欄にそれぞれの金額を記入します。預金の場合は預金額を、証券などは評価額(時価)を記入します。証券の評価額については、取引している証券会社から定期的に送られてくる「取引残高報告書」に書いてあります。株式や証券などは相場の変化で購入時よりも評価額が大きく変動するので注意が必要です。
これらを書きだしたら、その隣の「内容」欄に銀行名や支店名、必要な場合は口座番号や定期預金の満期日なども記入しておきましょう。「備考」欄に「何のための貯金なのか」というおおよその使い道を書いておくことも大切です。また、右端の「連絡先」欄に担当者の名前や電話番号などを記入しておくと便利です。
ひとまず貯蓄がいくらあるかを把握するところからはじめてみましょう。とはいえ、もしも貯蓄が不足すれば、貯蓄のほかの財産をお金に換えることを検討しなければなりません。「不動産」「その他財産」の欄はそんなときのために必要になってきます。
では、「不動産」欄の書き方についてご説明しましょう。まず、不動産は土地と建物に分類します。次に、「残高」の欄にその評価額(時価)を記入します。評価額については、毎年四、五月に市区町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」の課税明細書に書かれています。
「その他財産」欄の書き方は、まず自動車、貴金属、生命保険、出資金などに分類してそれぞれの処分見込み価格を記入します。もし価格がわからなければ、とりあえず「残高」欄には「一万円」などと書いておきましょう。実際はもっと高く売れるかもしれませんし、逆に安いかもしれませんが、こうして記入しておけば、その存在を忘れることはありません。積立保険などがある場合は「契約内容のお知らせ」に記入された「解約時受取金額」の試算を記載します。「内容」覧には、自動車なら取得年月日を書いておくと買い替え時期を判断する目安になります。生命保険は、「内容」欄に死亡時の保険金額や入院時の見舞金などを記載します。出資金は、組合などの解散や脱退時の財務内容が悪化していれば返還される金額も減少しますので、返還額を見込んで記載します。
そして「借金」欄の書き方です。たとえば住宅ローンなどがある場合には、「残高」欄に残りのローン残高を書いておきましょう。これはあなたの財産からマイナスされる金額です。すでにローンがすべて終わっている場合は「すべて返済」と書いておきましょう。「内容」欄にはお金を借りている銀行名などを書きます。
いかがでしたか?これであなたの「財産の明細」が完成しました。こうしてまとめておけば、なにがどうなっているのか一目で確認できるので安心です。これをもとに自分のライフプランを立ててみましょう。
【図表 財産の明細】