不動産投資家の本などで度々目にする「初心者は、まずワンルームマンションを買いなさい」。しかし、安易な投資は大変危険です。本記事では、恵比寿吉之助氏の著書『50代から年収100万円アップできる老後資産構築法』(ごきげんビジネス出版)から、不動産投資に失敗しやすいケースについて解説します。

不動産投資で失敗した3つの理由

私がなぜ不動産投資で失敗したのかを解説していきましょう。今だから失敗した理由がはっきりとわかります。あなたには失敗してほしくありませんので、私の教訓を活かしていただきたいです。

 

1.投資額が多すぎた

まず失敗した理由の1つ目は、リターンに対して「投資額が多すぎた」ことです。

 

投資で成功するための鉄則は、投資額とリターンを比べたときに、「投資額よりもリターンが上回る」ことです。不動産投資でも株式投資でも、投じたお金よりも入ってくるお金のほうが多くてはじめて儲かります。

 

たとえば1億円を投資して、100万円しか返ってこなければ儲かっていないですよね。しかし、100万円を投資して、300万円が返ってきたら儲かっていますよね。ですから、まずはシンプルに「投資額とリターンのバランス」を見なければいけないのです。

 

こんな小学生でも理解できる単純なことを、私はわかっていませんでした。

 

なお、節税目的の不動産投資はリターンが少ないため儲かりません。なぜなら、節税とは「損を減らす行為」であり、「儲けを増やす行為」ではないからです。赤字で節税するよりも、たくさん稼いで税金を払ったほうが儲かります。

 

私が儲からなかった理由①
「投資額>リターン」だと考えていた

投資成功の鉄則=「投資額<リターン」
×1億円投資して、100万円ゲット
100万円投資して、300万円ゲット

 

戸建ては少ない投資額でリターンが多いです。私が購入したワンルームと戸建てで比較しますね。

 

まず、ワンルームの場合、投資額1,800万円でローン返済は30年間。家賃9万円から管理費、ローン返済などを引くと、月の利益が5,000円です。

 

一方、戸建ての場合は投資額300万円で、ローン返済は10年間。家賃5万2,000円に対して、月の利益はなんと2万円あるのです。戸建ての投資額はワンルームの1/6と、かなり少ないですよね。

 

しかも、月の利益は戸建てがワンルームの4倍もあるわけです。私は以前、投資額の多いほうがリターンも多いと思っていました。

 

また、家賃収入というからには、「家賃の高いほうがいい」と信じていました。しかし、実際に儲かるのは投資額が少ない戸建てになります。

 

さらにビックリするのが、同じ条件の比較です。1,800万円の資金を投入した場合、私と同じワンルームを買うと、月の利益は5,000円。30年間のフルローンなので、30年間トータルの利益は180万円しかありません(5,000円×12か月×30年間)。

 

1,800万円も投資しているのに、リターンが180万円しかないので、儲かっていないことがわかりますよね。

 

しかも、この180万円は全額手元に残るわけではありません。30年間という長い年月には退去もあります。退去になったら家賃は入ってこないですし、水回り設備も含めて修繕も発生しますので、どんどんお金が減っていきます。

 

30年後には、手元にほとんどお金が残っていないかもしれませんし、下手をすれば赤字です。

 

一方、戸建ての場合は1物件の投資額は300万円程度ですから、1,800万円の資金で6物件も買えます。フルローンでも、1物件あたり2万円の利益がありますので、月の利益は12万円。同じ資金1,800万円で、この時点で戸建ての利益は24倍です。

 

さらに10年が経ったら、戸建てのローン返済はなくなりますので、利益は月29万円に増えます。月収29万円あれば、それだけで生活できる人もいるでしょう。

 

しかし、ワンルームの場合は、月5,000円のまま。戸建ての利益はワンルームの58倍! 全然違いますよね。

 

戸建ては少ない投資額でリターンが多い!

【私の実績】
       マンション(6%)       戸建て(20%)
投資額    1,800万円      →    300万円(投資額1/6!)
返済期間   30年         →    10年(返済期間1/3!)
家賃     9万円              5.2万円
管理費    3万円              なし
ローン返済  5万円              2.8万円
税・保険   0.5万円             0.4万円
月の利益   0.5万円       →    2万円(月の利益4倍!)

<1,800万円の資金を投入した場合>
       ワンルーム1室         戸建て6戸
投資額   1,800万円×1室         300万円×6戸
月の利益  0.5万円(30年間同じ)  →    12万円!(24倍!)(2万円×6戸)
         
10年経過後 0.5万円         →    29万円(58倍!)(借金完済)
            
30年後の累計利益 180万円※1     →    8,350万円!※2                                                                      

 

※1 0.5×12×30年

※2 12×12×10年+28.8×12×20年

 

年間トータルの利益で比較すると、戸建ての利益は8,352万円です。1,800万円投資してリターンが8,352万円。投資額をリターンが上回っているので、儲かっていることが一目瞭然です。

 

私が不動産投資の本を読んだ際、「初心者は、まずワンルームマンションを買いなさい」との記述が多かったので、なんの疑問ももたずにワンルームを買うところからスタートしましたが、物件を買ってから儲からないことに気づきました。

 

大事なのは、イメージで物件を選ぶのではなく、客観的に数字で比較することです。ここでお話しした数字の比較は、私の実例に基づくデータです。ワンルームを買っても儲からないことは、おわかりいただけたと思います。

 

こういう話は、私がワンルームを買う前に教えてほしかったですね(苦笑)。

 

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