税務調査官「あの方は誰ですか?」→社員「社長です」のやりとり…“分掌変更に伴う役員退職金”の取り扱いで不利になるワケ【税理士が解説】

税務調査官「あの方は誰ですか?」→社員「社長です」のやりとり…“分掌変更に伴う役員退職金”の取り扱いで不利になるワケ【税理士が解説】

分掌変更とは、代表取締役や取締役が会長や監査役に退きながらも引き続き会社に在職することです。役員退職金を経費に落とすだけで、形式上は分掌変更しようとする企業は少なくありませんが、分掌変更に伴う役員退職金が法人の経費として認められるにはいくつかの点に注意しなければなりません。本記事では、税理士の伊藤俊一氏による著書『税務署を納得させるエビデンス 決定的証拠の集め方』シリーズ(ぎょうせい)から、分掌変更に伴う役員退職金の取り扱いについて解説します。

分掌変更における役員退職金の事実を証明するには?

Q

分掌変更における役員退職金の事実を証明するためのエビデンスについて教えてください。

 

A

エビデンスのみならず、逆に「資料が残っていないこと」が重視されます。これについても最低限用意しておくべき事項はあります。

役員の退職を「明確な事実」にする方法

分掌変更に係る「法人の経営に従事」とは実質判断に着地します。したがって、証拠の保全には万全を期す必要があります。法人税基本通達9-2-32の具体的な留意点は多岐にわたります。

 

原則として「下記のすべて」を満たした場合、納税者は疎明が可能になったといえます。

 

資料から一切の名前を消去し、会社からも姿を消すことが大切

〇 「代表」(と付いているもの一切について)に係る名刺は処分。また、分掌変更後は一切使わない。典型的なものは代表取締役の名刺です。

 

〇 社長室から撤退します。次の肩書の会長や相談役、顧問等々の専門室は一切不要です。従前社長室で使用されていた一切の備品については次の社長の専用にします。分掌変更後当該人は一切使用しないこととします。

 

社員が「社長」と呼ぶのも問題視されます。調査官が社員に「あの方は誰ですか?」と聞けばすぐにわかる事項です。

 

〇 ホームページ、会社案内パンフレット、その他SNS等々でもし組織図があれば、当該人の名前は一切消去します。

 

〇 議事録、稟議書、報告書のみならずその他メールや社内SNS等々での氏名の記載、押印は一切しないこと、さらにいえば、署名押印できるスペース=「決済欄」自体を一切消去することとします。

 

したがって、そもそも取締役会、経営幹部会、営業会議などに出席してはいけないこととなります。社内SNSでの報告連絡相談、いわゆるオンライン会議などのウェブを使っての出席も一切慎みます。

 

〇 取引先の接待など重要な営業をしてはいけないこと、業界団体のイベントに会社代表者として参加してはならないこと。特に次代表と一緒に参加し、取引先等を紹介するといった行為は厳に慎むべきです。

 

〇 退任後の役員給与の額は社内の他の役員や従業員、同業他社の役員と比べ、極端に高額にすることはできません。退任後の役員給与と「同族特殊関係者ではない」役員との給与比較はよく行われます。

 

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    ※本連載は、税理士の伊藤俊一氏による著書『税務署を納得させるエビデンス 決定的証拠の集め方』シリーズ(ぎょうせい)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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