日本株の「上昇」はこれから本格化する
でも、その流れがようやく終わろうとしています。もっというと、これからの日本は、さらに投資環境が良くなっていくと思われます。
今までは、企業が得た利益の多くが内部留保に回されていたため、人や設備に対する投資が十分に行われず、かといって株主に対する還元も行われないため、企業の競争力と効率性は低下しました。
当然ながら「ROE」(自己資本利益率)も高くならないので、日本企業に投資しようという機運も高まりませんでした。
「ROE」は「Return On Equity」の略で、「自己資本利益率」といわれるように、企業が株主などから出資してもらった自己資本に対して、どのくらい高い収益を上げているのかをはかる数値です。
よく「日本企業は内部留保を貯め過ぎている」と批判されますが、まさにその通りで、過去に稼いだお金を投資に回さず、万が一の時のために会社内部に貯め込んでいると、株主資本がどんどん分厚くなる半面、収益を上げるための投資をしないことから収益力が低下するため、「ROE」は低下してしまいます。
また、「PBR」は「Price Book-value Ratio」の略で、株価を「1株あたり純資産」(BPS)で割って求められる数値です。
純資産とは、前述した自己資本も含め、その企業が持っている、自由に使えるお金すべてを包括した勘定科目のことで、会社を解散させた時、株主に対して配当される財産と言っても良いでしょう。
「PBR」は、この、純資産を発行済株式数で割って求められる「BPS」と「株価」を比較して算出されます。「PBR」が1倍未満の企業は、株価が会社の解散価値よりも低くしか評価されていないことになります。
日本の株式市場で、「PBR」(株価純資産倍率)1倍割れの企業が非常に多かったのは、企業価値、株主価値を上げようという努力が圧倒的に足りなかったことの帰結といえるでしょう。
多くの日本企業はこれまで、「ROE」と「PBR」が諸外国に比べて低い点が指摘され続けてきました。それだけ株式市場における企業価値の評価が低いままに、放置され続けてきたのです。
でも、それがいよいよ大きく変わってきました。
企業はガバナンスを一層重視し、配当をはじめとする株主還元を積極的に行い、資本政策を見直すことによって「ROE」が向上してきています。結果、日本の企業価値が徐々に向上し始めていて、それが累積的に積み上がるようになってきました。
また、東京証券取引所が、「PBR」が1倍を割り込んでいる上場企業に対して、その要因を分析させるのと同時に、改善するための具体策を開示するように求めたことも、株価上昇につながる可能性を高めています。
とにかく、これまでの日本企業は、「PBR」の算出の基礎となる「BPS」(1株あたり純資産)の増え方が鈍く安定性にも課題があったので、大きく増える欧米企業に投資資金が回ってしまい、日本企業はなかなか投資対象とされませんでした。
この「BPS」の増え方が今後、欧米水準に接近するようになれば、いよいよ本格的に日本株投資が見直されるようになります。
中山 大輔
元JPモルガン・アセット・マネジメント ファンドマネジャー
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