円安・超低金利のなか「冬のボーナス」をどうする?銀行の「特別金利キャンペーン」以外にもある…「高利率・低リスク」の金融商品「ゼロクーポン債」とは

円安・超低金利のなか「冬のボーナス」をどうする?銀行の「特別金利キャンペーン」以外にもある…「高利率・低リスク」の金融商品「ゼロクーポン債」とは
(※画像はイメージです/PIXTA)

ボーナスシーズンとなり、多くの銀行で「冬のボーナス特別金利」とうたった円貨・外貨の「定期預金」のキャンペーンを行っています。超低金利・円安のなか、当分使う予定のないまとまった額を預けて少しでも増やすには有益な方法の一つと考えられますが、それ以外に、利回りが高く、比較的低リスクといわれる金融商品が存在します。本記事では、そのなかの一つ、「ゼロクーポン債」について解説します。

償還時に為替相場が購入時より「円高」だと損失が発生するリスクがある

第一に、債券の償還時に為替相場が購入時より「円高」に振れていた場合、損失(為替差損)が発生するリスクがあります。このリスクが最も深刻です。

 

まず、通貨の相場が安定している国の債券を選ばないと、その国の通貨が暴落して思わぬ損をする可能性があります。たとえば、いわゆる「新興国」のゼロクーポン債は、利回りが高く設定されていますが、通貨の相場が不安定で、大暴落のリスクがあります。

 

また、為替相場の変動による損益分岐点、つまり、どこまで円高が進めば損失が発生するかを知ったうえで、購入するかどうかを決めることが必要です。

 

たとえば、以下の内容のアメリカのゼロクーポン債があったとします。

 

・額面1万ドル

・購入価格5,800ドル

・償還期間17年

 

このゼロクーポン債を「1米ドル=144円」のときに購入すると、日本円での購入金額は144円×5,800米ドル=83万5,200円です。

 

17年後の満期に、1万米ドルが償還されます。その時、1万米ドルが日本円に換算して83万5,200円を下回らなければ、損失が発生しないことになります。

 

したがって、損益分岐点は、「1米ドル=83.52円」(83万5,200円÷1万米ドル)ということになります。つまり、「1米ドル=83.52円」よりも「円高ドル安」になったら損失が発生してしまうということです。

 

このように、ゼロクーポン債の活用を検討するのであれば、必ず、償還時の為替相場の損益分岐点を確認する必要があります。

 

◆償還時の差益に約20%の税金がかかる

第二は、償還時の差益が税制上「上場株式等にかかる譲渡所得」にあたり、20.315%の所得税がかかることです。しかも、投資信託と異なり、「NISA」のような非課税の優遇措置がありません。

 

この点は、株式より安全性・確実性が高いというメリットと引き換えだと割り切る必要があるかもしれません。

 

◆途中で売却すると損をする可能性がある

第三に、ゼロクーポン債は、途中で売却すると損をする可能性があります。どういうことか。もう一度【図表】をご覧ください。

 

【図表】ゼロクーポン債のイメージ

 

ゼロクーポン債は、市場で取引の対象となります。したがって、債券の価格は市場での需給関係に応じて変動します。したがって、もし、何らかの事情によって売却せざるを得なくなり、そのときに価格が購入時の価格を下回っていたら、損をしてしまいます。

 

前述したように、ゼロクーポン債が向いているのは、まとまったお金を持っていて、かつ、そのお金を当面の間使う予定がない人です。償還期間の途中で売却するハメにならないように、あくまでも余剰資金で購入することが必須条件であるといえます。

 

ゼロクーポン債は、購入して償還期間まで保有し続けることで、比較的低リスクで、お金を効率よく増やせる可能性が高いものです。「冬のボーナス」に限らず、当面使い道がないまとまった額のお金があり、かつ、ただ銀行に預けるのではなく将来のために効率よく運用したいのであれば、「外貨定期預金」「株式」等の金融商品と並んで有力な選択肢の一つといえます。

 

ただし、為替変動により損をするリスクはあるので、購入に際しては、いくらまで「円高」が進めば損失が生じるかという「損益分岐点」を確認する必要があるといえます。

 

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