(※画像はイメージです/PIXTA)

「2025年問題」というのをご存じでしょうか。いわゆる「団塊の世代」が2025年にすべて75歳以上の「後期高齢者」になることによって様々な問題の発生が予想されます。その子の世代が「就職氷河期世代」のボリュームゾーンにあたることから、親世代が介護状態になった場合の「お金」の問題が発生します。本記事で解説します。

「非正規・就職氷河期世代」の収入は?

厚生労働省『労働力調査』(2022年分)によると、いわゆる就職氷河期世代とほぼ重なる35歳~54歳の正社員・非正社員の労働力人口とその割合は以下の通りです。

 

・35歳~44歳:正社員854万人(72.6%)、非正規社員322万人(27.4%)

・45歳~54歳:正社員985万人(69.3%)、非正規社員437万人(30.7%)

 

ちなみに、その後の「25歳~34歳」の世代についてみると正社員820万人(77.9%)、非正規社員233万人(22.1%)となっており、35歳~54歳の世代の非正規社員率が際立って高いことがわかります。

 

次に、この世代で非正規で働く人々の収入に関する統計データを紹介します。35歳~54歳の世代の非正規雇用労働者の月収は、厚生労働省「令和4年(2022年)賃金構造基本統計調査」によれば以下の通りです。

 

・35歳~39歳:21万3,300円

・40歳~44歳:21万7,600円

・45歳~49歳:21万2,800円

・50歳~54歳:21万1,900円

 

いずれも21万円台で、手取りに換算すれば月約16万円ということになります。もし、親が介護を必要とする状態になると、経済的負担は非常に重いものになることが想定されます。

 

もしも親に介護が必要になった場合、老人ホームに入居してもらうか、あるいは、家族が在宅で介護するかのどちらかになります。それぞれ、どれくらいの費用がかかるのか、受けられる公的保障も含め、以下に紹介します。

親に老人ホーム等に入居してもらう場合

親を老人ホーム等に入居させる場合の費用は、厚生労働省の資料によれば、介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム等の有料老人ホームだと月18.9万円、サービス付き高齢者向け住宅だと月14.0万円です。

 

この費用は、まずは親自身の年金によって賄うことになるとみられます。では、公的年金の受給額は平均でどれくらいでしょうか。厚生労働省の調査によれば、国民年金受給者の月平均受給額は5.6万円、厚生年金受給者の月平均受給額は14万円程度です。このデータからみると、親を老人ホーム等に入居させる場合、親自身の年金だけでは足りない、あるいはぎりぎりになってしまうケースが相当数生じると想定されます。

 

そこで、年金で賄えない部分の額については親の貯蓄を取り崩すか、あるいは、子が援助するしかありません。しかし、子に資力がなく、援助したくてもできないケースが考えられます。

 

「団塊の世代」がすべて75歳の「後期高齢者」に突入する2025年以降、そのようなケースは今後、増えていく可能性があります。

 

なぜなら、その子の世代はいわゆる「就職氷河期世代」のボリュームゾーンにあたるからです。前述の就職氷河期世代非正規雇用労働者の手取り額からみて、自分が食べていくのに精いっぱいで、親の老人ホームの費用を援助するどころではない、ということもありえます。

 

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