問われる「後期高齢者医療制度の合理性」
しかし、そうなると、後期高齢者医療制度と74歳以下の世代を対象とする健康保険制度とを別々の制度としていることの合理性が問われることになります。
これまでは、74歳以下の世代の健康保険制度から75歳以上の世代の後期高齢者医療制度へ「支援金」が支払われるという関係のみでした。現役世代が75歳以上の世代に財政支援を行う形がとられてきたのです。
しかし、今後は、逆に、後期高齢者医療制度から健康保険制度への財政支援が行われることになります。
つまり、実質的にみると、支援金が「還流」する構造が発生するということです。
もともと、2008年に後期高齢者医療制度を公的医療保険制度から独立させた趣旨は、75歳以降の世代の医療費の負担を現役世代よりも軽くし、かつ、現役世代に財政支援してもらうというものでした。
ところが、その後、出生数の減少・少子化が予想を上回るペースで進行しました。このままでは、現役世代の負担が重くなっていくことは避けられません。そんななかで、今度は、逆に後期高齢者が現役世代に財政支援を行うというしくみが設けられようとしています。
しかし、そうなると、医療制度を74歳以下の「健康保険制度」と75歳以上の「後期高齢者医療制度」に分け、前者から後者への財政支援を行うという現行の公的医療保険制度の前提が揺らぐことになります。
世代間の負担の公平の問題は、今後、少子化・高齢化が進行するにつれ、ますます深刻になっていくことが想定されます。後期高齢者医療制度と健康保険制度の関係やそれぞれのあり方について、それぞれの世代にとって納得感のある制度設計が求められています。
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