プロジェクトに参加する組織が多いほど「言葉の定義」が重要に
Q
所属部署の違うメンバー同士、あるいはメンバーに社外の人がいる時、お互いの話がかみ合わない場合どうすればいい?
A
まず「言葉の定義」を決めましょう。特に「納品」や「納期」の定義は必ず確認してください。
所属する部門や組織が違えば、使う言葉も異なります。
それが原因でまったくかみ合わない不毛な議論が続いたり、誤解が生じてミスやトラブルにつながる危険性もあります。
よって、言葉の定義を早い段階で確認することが必要です。
私が「Yahoo!BB」のプロマネをしていた時も、こんなことがありました。
ADSL事業に参入するには、NTTの回線を借りてネットワークを構築する必要があります。それを担当していたのが、シスコシステムズときんでんから出向してきたメンバーでした。
ところが、この2社が使っている用語や書式がバラバラだったのです。
例えば図面を作る際、シスコはNTTの局舎を「◎」で表すのに、きんでんは「■」で記入したり、ある設備機器をシスコは英語の略称で書き込むのに、きんでんは日本語を使ったりしていました。
そのため、お互いが作成した図面が何を指すのかわからず、現場の作業が進まないというトラブルが起きていました。
それを知った私は、すぐに言語の共通化に着手しました。
「局舎は『■』で統一する」「機器の名称は英語で統一する」というように、言語の定義づけをしたのです。
その結果、双方のスタッフのコミュニケーションも円滑になり、図面の作成や現場の作業も加速度的に進むようになりました。
このケースはどちらかといえば専門用語に近い言葉ですが、なかにはもっと一般的な言葉でさえ、まったく異なる意味で使われることがあります。
なかでも「納品」や「納期」という言葉の定義には特に注意が必要です。
この言葉を、「システムをパッケージとして納品するまで」と定義している会社もあれば、「パッケージを納入後、サポートサービスが終了するまで」と定義している会社もあります。
これを最初の時点できちんと定義して、認識を共通にしておかないと、後でとんでもないトラブルになってしまいます。場合によっては、訴訟にまでなりかねません。
プロジェクトに参加する組織が多いほど、プロマネは「言葉の定義」に気を配ることが非常に重要です。
三木 雄信
トライズ株式会社 代表取締役社長