<観光客の視点から見た世界の『都市ランキング』>
森記念財団都市戦略研究所は11月9日、2023年版「世界の都市総合力ランキング」を発表しました。『都市ランキング』は、世界の主要48都市を対象に、2008年から毎年、6分野を評価し、順位付けを行っています。総合力ランキングでは、上位7都市の順位に変動はなく、ドバイが初めてトップ10に入りしました。また、観光客の視点から見たランキングでは、ドバイに加え、イスタンブール、シンガポールなどが順位を上げました。
【ポイント①】ドバイが初めてトップ10入り
■「世界の都市総合力ランキング」は、各都市の魅力や課題を示すために、世界の主要48都市の「総合力」を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野・70項目をスコアで評価し、順位付けしたものです。
■2023年の1位はロンドンで、以下、ニューヨーク、東京、パリ、シンガポール、アムステルダム、ソウルが続き、上位7都市の順位に前年から変動はありませんでした。
■今年はドバイが初めてトップ10に入りました。「国際コンベンション件数」、「外国人訪問者数」、「国内・国際線旅客数」などの成長が要因で、ドバイの国際的な存在感の高まりが結果に表れました。
【ポイント②】観光客の視点ではイスタンブール、シンガポールなどが順位を上げる
■『都市ランキング』は、総合力や分野別の評価に加えて、観光客の視点での評価も行っています。そのトップ10で順位を上げたのは、2位の東京(前年3位)、4位のドバイ(同5位)、5位のアムステルダム(同7位)、7位のイスタンブール(同9位)、10位のシンガポール(同15位)です。これらの都市は、コロナ禍からの回復で「外国人訪問者数」、「観光地の充実度」などが伸び、観光都市としての存在感を高めました。
【今後の展開】コンサートなどのイベントが都市への旅行需要を後押し
■米人気歌手テイラー・スウィフトさんの世界ツアー公演が、2024年3月にシンガポールで開催されます。東南アジアでは唯一の開催地のため、周辺国からもファンが集まり、大きな経済効果をもたらすと見られます。シンガポールのように先進的なインフラ、ハブ空港、ハイクラスホテルを持つ都市は、こうしたコンサートや大規模な国際的イベント、フェスティバルの開催に伴う旅行需要から恩恵を受けており、ランキングを上げそうです。
(2023年11月15日)
石井 康之
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフリサーチストラテジスト
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