【資産形成のヒント】米10年国債は利回り5%に接近…いま高金利の「債券投資」、どんな人に向いている?(ポートフォリオマネージャーが解説)

【資産形成のヒント】米10年国債は利回り5%に接近…いま高金利の「債券投資」、どんな人に向いている?(ポートフォリオマネージャーが解説)
(※画像はイメージです/PIXTA)

債券投資が黄金時代に突入したことで、債券投資に興味を持つ方が増えています。一方で、「債券」は通常時はスポットライトが当たらない資産なので、よくわからないという方も少なくないでしょう。債券とは何か、どのような人に向いているのか。また、債券投資を行う上でのポイントは何か。株式会社ウェルス・パートナー 藤村大星氏が解説します。

債券投資「黄金時代」を乗りこなせ

アメリカ10年国債の利回りが5%近辺まで上がったので債券投資に興味を持った方も多いのではないでしょうか。本記事では、「債券投資が向いている人の特徴」や「債券投資のポイント」について詳しく解説しようと思います。

 

また、金額別に債券投資事例を紹介しているので、債券ポートフォリオ構築の際に参考にしていただけると幸いです。

債券とは?

債券とは、企業や政府などが資金調達をするために発行する金融商品です。債券投資家は毎年決まった時期に利金(クーポン)を受け取ることができ、債券の満期が到来したときに投資元本(額面)が返ってきます。

債券投資に向いている人の特徴

実は債券投資が向いている人には共通点があるので、特徴をまとめました。

 

●安定したインカムゲインが欲しい方

債券投資の醍醐味は安定したインカムゲインです。債券は年2回、決まった金額の利金(クーポン)が貰えるのが大きな特徴なので、会社を売却した富裕層が役員報酬の代わりとして投資する場合や、退職金を安定運用したい場合などと相性がいいです。

 

インカムゲインといえば株式の配当もありますが、株式の配当は業績次第では減配される可能性があります。

 

一方で、債券であれば、利率は発行時に固定されるので債券の償還まで毎年一定の利金を受け取ることが可能です。ただし債券の種類によっては所定のタイミングで利金が変動するものもあるので、債券投資の際は債券の概要もしっかり把握してから投資しましょう。

 

●安定した資産運用をしたい方

債券投資は、会社売却後の資産や退職金などの「虎の子の資産」を運用しようとしている方と相性がいいです。

 

これは資産の性質が関係しています。例えば投資で失敗してしまったとしても、働いていれば労働収入があるので投資による損失を挽回することは可能です。しかし会社売却後や退職後はどうでしょうか。投資で損失を出してしまった際に挽回する手段が限りなく少ないので、会社売却後や退職後の資金を元手にする場合は安定運用をする必要があります。そういった安定した資産運用をする必要がある方に債券投資はピッタリです。

 

株式は投資した時点で利回りが確定しませんが、債券の場合は投資した時点で満期保有時の利回りが確定します。

 

●手間をかけずに資産運用をしたい方

債券投資は会社経営者の方や医師の方などの忙しい方との相性もとてもいいです。

 

株式の場合は会社の業績や経済状況を確認し、売買するか検討しなければならないため、手間がかかります。

 

一方で債券は手間要らずの投資です。債券は基本的に一度投資したら償還まで保有するので、やることがなく手間もかかりません。買ったらほったらかしでもいいので、忙しい会社経営者や医師の方との相性がいいです。

債券投資をする際のポイント

●「格付け」を確認してリスク分散

債券投資における一番のリスクは投資先(発行体)が倒産してしまうことです。基本的に倒産してしまったら投資元本は回収できないと思った方がいいです。そのため、債券の発行体選びは慎重に行う必要があります。

 

発行体選びの際に見るポイントとして「格付け」があります。格付けとは、S&PやMoody’sなどの格付機関が国や企業が発行する債券の信用力や元利金の支払い能力の確実性などを分析して、英数字でランクづけしたものです。BBB-以上を投資適格格付け、BBB-未満を投機的格付けといいます。

 

債券選びの際には格付けがBBB-以上の債券にしましょう。現在は利回りが高いので長期債を中心に債券投資をする方が多いと思います。長期債の場合はより慎重に選ぶ必要があるため、格付けA-以上でもいいと思います。

 

●期間の分散

債券投資では、償還までの期間を分散させることも重要です。

 

債券には償還があるので、債券投資を継続する場合は違う債券に再投資する必要があります。しかし現在のような高い利回りで再投資できるかはわかりません。

 

例えば低金利の際に債券が償還した場合はどうでしょうか。1つの債券に集中投資していた場合は低金利なので、高い金利で再投資をしようとしてもできません。ですが様々な期間に分散していた場合は、ポートフォリオの一部だけが償還したに過ぎないので、債券ポートフォリオを維持することが可能です。

 

このように期間を分散することによって、低金利の際に債券が償還した場合の金利変動リスクを軽減することが可能です。現在は長期債の比率を高めてポートフォリオ全体の残存年数を伸ばす戦略が有効です。

金額別・債券投資の事例

ここまで債券投資に関するポイントなどを挙げましたが、文字だけだとわかりにくいと思うので具体的な投資事例を用いてご説明できればと思います。

 

<例>1億円の債券ポートフォリオの場合(図表1)

このケースは1億円を1000万円ずつ10銘柄へ分散した、安定性重視の債券ポートフォリオです。

 

[図表1]1億円の債券ポートフォリオの場合

 

発行体は銀行・保険会社だけでなく資源系会社や通信会社、IT企業にも分散しています。

 

債券種類は普通社債と劣後債を活用し、平均債券格付けはBBB+です。投資適格債のみでポートフォリオを構築しています。高金利が続いているため長期債を中心にしています。平均残存年数は12.2年です。金利変動リスクをヘッジするために色々な年数の債券にバランスよく分散しています。

 

<例>3億円の債券ポートフォリオの場合(図表2)

このケースは3億円を2000万円ずつ15銘柄へ分散し、一部リスクを取っている債券ポートフォリオです。

 

[図表2]3億円の債券ポートフォリオの場合

 

分散ができているので永久劣後債や国や業種のリスクが高い分、高い利回りが狙える債券を組み込んでいます。

 

分散をした上であれば、一部でリスクを取り高い利回りを狙うこともよいでしょう。

 

今回は15銘柄に分散しているので1銘柄の比率は6.6%です。仮に1社が破綻して14銘柄になっても1銘柄の比率は7.1%です。ポートフォリオ全体の利回りは5.9%なので2年で回収が可能なため、一部リスクをとってもよいと判断し、ポートフォリオに組み込んでいます。

 

 

藤村 大星

株式会社ウェルス・パートナー ポートフォリオマネージャー

 

三菱UFJモルガン・スタンレー証券に入社。会社経営者や医師等の富裕層への資産運用コンサルティング業務に従事。

2022年10月に株式会社ウェルス・パートナー及び株式会社ウェルス・ソリューションズに入社。資産1億円以上の富裕層向けに資産保全・管理、相続・事業承継対策等のアドバイスを行う。

 

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