Aさんは本来「特別な年金」がもらえた
そもそも、年金の支給開始年齢が60歳から65歳へ段階的に引き上げられているなか、1953(昭和28)年9月生まれのAさんの場合は、本来61歳が支給開始年齢でした。
この場合、61歳から65歳までの4年間「特別支給の老齢厚生年金(特老厚)」が受け取れることになっています。しかし、その年金を受け取るためには請求が必要なところ、Aさんはまったく手続きをしていなかったのです。
周囲から「手続きを遅らせれば遅らせるほど年金が増える」と聞き、早くに手続きをしないほうがよいと考えていたAさん。ここに、Aさんの年金制度に対する理解に誤りがありました。
繰下げ受給で増額できるのは、65歳以降終身で受けられる「老齢基礎年金」や「老齢厚生年金」のこと。いま述べた特老厚は、繰下げの対象になりません。
「特老厚」は65歳までの有期年金であり、65歳になると終了します。したがって、61歳で受給できるようになってから5年以内に請求した場合は、61歳から65歳までの特老厚をすべて過去にさかのぼって受給できますが、5年を過ぎて請求をすると、時効消滅で受け取れない分が発生します。
そして、請求が遅れれば遅れるほど時効消滅分が増える(=受け取れない年金が増える)ことになるのです。
2023年11月(70歳2ヵ月)を迎えるまで特老厚を請求していなかったAさんは、61歳の翌月分(2014年10月分)から65歳到達月分(2018年9月分)までの4年(48ヵ月)分、すべての特老厚が時効消滅してしまっていたのでした。
働きながら年金をもらおうとすると“カット”される場合も
年金を受給できる年齢になってから引き続き勤務(厚生年金に加入)すると、「在職老齢年金の支給停止」という制度があります。これは、働きながら年金を受けるとその金額の一部、または全額がカットされてしまうというものです。
しかし、年金と給与や賞与の合計が基準額を超えていないとカットされませんし、一定基準を超えていても全額カットにはならないことも少なくありません。
具体的には、現在、
・給与月額(標準報酬月額)
・賞与(標準賞与額)の12分の1
・年金(厚生年金の報酬比例部分)の月額
を合わせて48万円※を超えた場合、超えた分の2分の1がカットされます。
※ 2023年度の場合。
また、2022年3月以前の特老厚の場合は、上記を合わせて28万円を超えると超えた分の2分の1がカットされます。ただしいずれの場合も、48万円・ 28万円という基準を超えていなければカットされません。
Aさんの場合、60歳以降にもらっていた給与はそこまで高くはありませんでした。Aさんの特老厚の支給停止基準は当時28万円でしたが、60歳以降大幅に給与が下がった結果、年金はカットされることなく一部は無事支給されたとのことです。
60歳台前半の年金についてはこのほか、「高年齢雇用継続給付」の受給による調整もありますが、それでもAさんには支給される年金があったことになります。
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