少なくとも3名ほどの部下を抱え、常にチームを動かしているマネージャークラスのビジネスパーソン。年収は650万円ほどでしょうか。実はこの「650万円」というのは、そこから先、給与が上がる人・上がらない人の分かれ目になるケースが多いといいます。本稿では、東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、年収650万円からステップアップするために不可欠な考え方について解説します。
“1人で1億円”よりも“5人で4億円”売るほうが大事?…「年収650万円」のマネージャーがさらに〈給与アップ〉するための考え方【キャリアのプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

個人で完結する仕事からの卒業が近づく「年収650万円」

今回は「年収650万円からの上げ方」に焦点を当てたいと思います。サラリーマンの年収は所属している会社の業種・業態や規模によってスタートラインがまったく異なりますので、あくまでも平均値の話として考えていきましょう。

 

まず「年収650万円」に到達しているビジネスパーソンとは、どんな人でしょう。年齢はどれくらいで、どんなポジションに就いているのでしょうか。

 

通常、この年収帯なら一般的にマネージャー~課長くらいの位置に到達しているケースが多いのではないでしょうか。もちろん会社ごとに役職名はそれぞれで、主任や係長ということもあるはずです。いずれにしても、この年収帯の管理職なら部下を少なくとも3名ほど、多いと7~8名ほど抱えているのが典型的なイメージでしょう。そして、チームとして何らかのプロジェクトに取り組んでいるケースが多いのではないかと思います。

 

当たり前のことですが、650万円を年俸制で受け取ると月額は約54万円になります。新卒からコツコツ働いて、何年目で到達したかはわかりませんが、この水準になると12で割ったときの金額に、それなりの充実感や達成感を覚えるのではないでしょうか。

 

ただしここから先で要注意なのは、恐らく部下のいない、自由で一匹狼的な働き方をすることが難しくなることです。日常的に複数のメンバーとともに、何らかのチームを運営することになるのが普通です。初めて部下を持つと、「一気に責任範囲が増えた」と実感することもあるでしょう。

 

平均像をみると、この650万円という年収帯は個人のオペレーションから本格的なマネジメントへの登竜門といわれるゾーンです。そして多くの場合、その後の年収に差がつき始めるのもこの頃です。1人で1億円の売上を作る営業担当者が優秀と評価される会社だったとしても、会社からはいずれ5人で4億円の売り上げをコンスタントに作り続けることを求められるようになってきます。

 

つまり、個人で自分の仕事を完遂するという段階は卒業に近づいているということです。そこから先は、1+1を3にするためにはどうするべきか、という世界に入っていかなければなりません。年収650万円のビジネスパーソンはこの壁を前にもがき、試行錯誤しながら前進しなくてはならないのです。