新しく人を採用する際、企業側は学歴や経歴を参照します。しかし、本来よりもより良い自分に見せようと、過去を詐称する人は少なくないといいます。今回は、サーチ・ビジネス(ヘッドハンティング)のパイオニアである東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)代表取締役社長の福留拓人氏が、経歴詐称にみられる2つの特徴と見破り方について解説します。
学歴重視主義の復活とともに増加する「経歴詐称」…ウソの履歴書で転職を目論む人の実態【人材のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

10人に1人程度が過去を修正する?経歴詐称の実態

私ども人材コンサルタントは、毎日の取り組みで多くの候補者(キャンディデイト)および求職者(ジョブ・シーカー)のみなさまとお会いします。その際に数多くの履歴書や業務経歴書をお預かりして目を通させていただきます。大変驚かれる数字かもしれませんが、そこには10%程度の経歴詐称が潜んでいます。

 

微細なもの、悪意のないもの、また悪質でないものを含め、経歴詐称が行われているのです。悪質でない詐称とは何かと思われるかもしれませんが、これは単なる記載ミスのようなケースです。それらも含めて実に10人に1人は過去の修正に手を染めていることになります。

 

私はこの1~2年、面談で経歴を詐称する割合が増加しているように感じています。具体的に見ていきましょう。

 

まず挙げられるのが「学歴の詐称」です。その99%は、見栄えのよい学歴、高学歴を感じさせようとするものです。ところが、1%程度ですが逆詐称というものもあります。すなわち大卒でありながら高卒を名乗るようなケースです。めずらしい事例ではありますが、一部の職種に高卒であることを採用基準としている場合があります。

 

これまで実際に見聞きしたものでは、ある路線バスの運転手の例がありました。ここでは大学を卒業していると逆に不採用になるという原則があり、詐称した人は最終学歴を遡った時点の自分を見せたわけです。

 

ちなみにこの場合も学歴詐称が発覚して採用取り消しになったそうです。これは大変レアなケースで、通常は最終学歴を過大に見せようとするのが常道です。