近年、部長職などを担うポストを経験する年齢が若返った結果、より評価される環境を求め転職を考える中高年世代の会社員が増えています。しかし、特にシニア世代になると「客観的評価と自己評価のギャップ」が命取りになることも多いようで……。今回は、サーチ・ビジネス(ヘッドハンティング)のパイオニアである東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)代表取締役社長の福留拓人氏が、中高年の転職の実態について詳しく解説します。
俺の能力がわからない会社なんて辞めてやる…年下にポストを奪われた50代会社員の愚かな決断→一家離散の大惨事も。不満があっても〈1年〉は現職にしがみつくべき理由【人材のプロが助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

若返るポストの煽り…「シニア受難の時代」へ

現役バリバリの中高年ビジネスパーソンから相談が絶えないことが、本日のテーマとなります。政界は別として、経済界などでは若返りが加速度的に進んでいます。それにより、豊富な人生経験、仕事の経験値、幅広い問題解決の能力などより大事なものが表面化してしまいました。

 

30代で部長になろうが50代で部長になろうが、部長として推進するミッションには変わりがありません。そのため「若い人に重要なポジションを経験してもらったほうがよい」という考え方が主流になりつつあります。そういった背景にITやテクノロジーの大きな変化も重なり、若返りが進んでいるわけです。

 

そうなると、これまで会社に何十年も貢献して一生懸命に実績をあげてきた人たちの存在感が薄れてきます。社内は過去の栄光をリスペクトする余裕さえなくなってきています。

 

そんなトレンドが押し寄せて、中高年世代のビジネスパーソンは、どんどんコーナーに追い詰められています。自分が怠慢だったわけでもないのに、時代の流れを止められないのです。そうした厳しい状況に置かれている人が急激に増えています。

 

世間では人不足といわれていますが、ホワイトカラーの有能な経営管理職というのは数が限られています。さらに合理化が進められて、ポストは減る一方。厳しさは増していきます。

 

該当する人たちは身をもってわかるわけです。社内での配置転換、子会社への出向、転籍の打診……。会社の中枢から外されて期待されることなく、できるものなら辞めてほしいと思われているかもしれません。

 

この時代、そこまで言及されないと思いますが、そういう例は枚挙にいとまがないわけで、まさに「シニア受難の時代」だといえます。