「海外旅行保険」のありがたみを実感した出来事
世の中から保険がなくなってもいいと思っているわけではありません。保険というのは、人類の優れた発明の一つです。実際、必要不可欠といえるような保険もたくさんあります。
たとえば、私が香港に出張したとき、行った先で急性虫垂炎にかかってしまいました。
もちろん、現地の病院に数日間の入院を余儀なくされました。香港の医療レベルは非常に高いので、技術面での不安はまったくありませんでした。現地の人によい病院を紹介してもらい、手術は無事成功。手術以外のケアや病室の環境も申し分なく、快適といっていいほどの入院生活でした。
驚愕させられることになったのは、退院手続きの際です。その病院から請求された手術・入院費用は、日本円にしてなんと250万円ほどにも達していたのです。
入院先が悪徳病院だったわけではありません。にもかかわらず、たかだか虫垂炎で250万円もかかるなんて、日本人の感覚からすれば、あり得ないことのように感じられるでしょう。
しかし、日本の公的健康保険が使えない海外においては医療費が高くなり、特に入院した場合は、相当のお金を取られてしまいます。私の場合は、クレジットカードに保障がついていたので手出しが100万円で済みましたが、これよりもさらに高い金額を請求されることもあるといいます。
迂闊にも、私は自分にそのような災難が降りかかるとはまったく考えず、海外旅行保険に入っていませんでした。日本でもずっと大した病気をしたことのなかった自分が、たった1泊の出張中に手術し入院するとは、思いもよらなかったからです。
その過信のおかげで、医療費負担は100万円にもなってしまいました。そのとき、心の底から海外旅行保険に入っておくべきだと痛感したのです。
本連載の本筋とは外れる話ですが、皆さんも海外旅行へ行かれるときは、海外旅行保険を必ず検討してください。香港だけでなく、米国や欧州の多くの国も、日本より医療費は高くつきます。海外旅行保険は数千円程度で加入できるので、惜しまず加入したほうがいいでしょう。ちなみに海外旅行保険は損害保険の一種です。
「損害保険」の加入をケチるのは賢くない
このように、世の中には本当に必要な保険もあります。そのほか、火災保険や自動車保険といった損害保険も、本当に必要な保険の一つといえます。万一事故や災害などに遭遇したら、事後に莫大なお金がかかるのは目に見えています。したがって、これらの損害保険に入るのをケチるのは、賢明とはいえません。
もちろん、保険会社ごとに商品性には差があるので、保険料と補償内容を精査したうえで、商品選びをする必要はあります。とはいえ、そもそも損害保険は、補償に対して保険料がそれほど割高というわけではないので、警戒しすぎる必要はないでしょう。