「脱税の証拠」をつかむため…マルサが“低金利時代になって「長期張り込み」せざるをえなくなったワケ【元マルサの税理士が解説】

「脱税の証拠」をつかむため…マルサが“低金利時代になって「長期張り込み」せざるをえなくなったワケ【元マルサの税理士が解説】
※画像はイメージです/PIXTA

映画『マルサの女』などで有名になった、国税局査察部(通称マルサ)。脱税の疑いがある対象者を徹底的に調べ尽くすマルサでは、信じられないほど長期間の張り込みをするそうです。そしてこの張り込みは、低金利時代になって以降さらに大変になったと、元マルサの税理士である上田二郎氏はいいます。いったいなぜなのか、詳しくみていきましょう。

日ごろからの尾行訓練…マルサ、驚きの業務内容

数少ないチャンスを逃すわけにはいかないため、尾行の失敗は許されない。そこでマルサでは、日ごろから尾行の訓練をしていた。

 

訓練は先輩査察官から突然「今日のターゲットはあいつ」と指令が下りる。まったく関係ない人の背中を借りるのだが、飲み屋から出てくるおじさんでは練習にはならない。

 

一般人で背後を警戒する人などいない。まして酒が入っていればなおさらだ。

 

そこで、銀行から出てきた人を狙う。大金を持っていればひったくりなどを警戒して背後を気にする。何度も尾行を経験するうちに背後を警戒する人の気配を感じるようになる。脱税者の多くが尾行を警戒しているため、実戦経験を積んで千載一遇のチャンスを成功に導く。

 

交通系電子マネーの登場によって尾行が激変した。それまではターゲットがどこへ行くのかわからないため、駅前の張り込みなら乗り入れている全路線の初乗り切符を買っておく必要があった。ターゲットが定期券を持っていると切符を買っている暇はない。もちろん手弁当で購入するのだが、ターゲットが来るまで張り込みが続く。

 

ペアになって尾行し、電車では隣の車両からターゲットを見つめ、下車駅ではひとりがそのまま尾行し、残ったひとりが2人分を清算してから追いかける。交通系電子マネーや携帯電話は、張り込みや尾行を楽にしてくれた“ビッグアイテム”だ。

 

 

上田 二郎

元国税査察官/税理士

 

 

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