(画像はイメージです/PIXTA)

事業の成功には「適切な節税」が必須です。本記事では、個人事業者に向け、資産購入は「30万円未満」に抑制すべき理由と、減価償却で「定率法」を選択するメリットについて解説します。※本記事は『<改訂2版>らくらく個人事業開業のすべてがわかる本』(あさ出版)より抜粋・再編集したものです。

減価償却は「定率法」を選ぶ

◆早期に資産の取得額を償却したいなら、「定率法」を選択!

固定資産の購入金額は、取得時に全額が経費になるのではなく、減価償却という方法で数年にわたって経費になるということを紹介しました。この減価償却の計算方法は税法で定められており、主な償却方法に定額法と定率法の2種類があります。

 

建物・建物附属設備・構築物の減価償却は定額法しか使えないことになっていますが、これら以外の資産の償却方法は資産の種類ごとに定額法か定率法かのいずれかを選択できます。

 

では、どちらの方法を選べば税金が少なくなるのか考えてみましょう。

 

具体例をもとに資産を取得した初年度の償却額を比較してみましょう。

 

一般的には定率法が有利と言われています。

 

●パソコン…35万円(耐用年数4年)の場合(取得初年度)

 

[定額法]35万円×0.25=8万7500円

 

[定率法]35万円×0.625=21万8750円

 

→ 21万8750円−8万7500円=13万1250円 ∴定率法が13万1250円有利

 

このように1年目の償却額は、定率法が断然大きくなり有利と言えます。

 

なお、定額法は毎年一定の金額が償却費となるのに対して、定率法では2年目以降の資産の未償却残高に償却率、保証率、改定償却率を使って償却費の比較計算(208ページ)を行いますが、1年目の償却額が一番大きく、その後償却費の金額が年々減っていきます。

 

つまり、定率法のほうが資産の取得額を早期に経費化することができるわけですが、最終的な償却費の合計金額はどちらの方法で行っても同じになります。

 

ただし、資産は年数を経るごとに劣化して修繕などの維持費が増えるため、購入初期に多額の償却費を計上できる定率法を選ぶほうが、資産の使用価値の逓減に応じた費用化という観点から合理的であると言えます。

 

◆届出を行わない場合は定額法で計算!

定率法を選択する場合には税務署に対して届出が必要になります。事業を始めた初年度については最初の確定申告の申告期限までに「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出してください。この届出書の提出がない場合には、定額法で計算することになります。

 

また、事業を始めた年の翌年以降に償却方法を変更する場合には、「所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出します。この期限は変更しようとする年の3月15日までなので、注意してください。

 

山端 康幸
東京シティ税理士事務所
代表税理士

【改訂2版】らくらく個人事業開業のすべてがわかる本

【改訂2版】らくらく個人事業開業のすべてがわかる本

山端 康幸 編
東京シティ税理士事務所 著

あさ出版

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