白色申告より、断然「青色申告」がお勧めなワケ
節税の第一歩は、何をさておいても「青色申告をする」ということです。
青色申告とは簡単に言うと、「簿記のルールに従って正確に帳簿をつけ、正しい納税をします」という約束をすることで、税金をまけてもらえるという制度です。この制度を使わない通常の申告を白色申告と言います。青色申告を行ったほうが白色申告よりも有利な点がたくさんあります。
◆青色申告で節税が可能に!…代表的な4つの特典
青色申告を選択すると主に次のような特典が受けられます。
①青色申告特別控除が使える(事業的規模)
青色申告をしているご褒美として、実際に支払った経費以外に最大で65万円(令和2年(2020年)以降は原則最大55万円、一定の要件を満たせば最大65万円)が控除できます。
②青色事業専従者給与を経費にできる(事業的規模)
家族に給料を出す場合、白色申告なら実際に出した給与の金額にかかわらず、必要経費にできるのは配偶者が86万円、子供は50万円までの事業専従者控除額に限られます。これに対して青色申告なら労働に対する対価として相当である金額に限られますが、給与として出した全額が経費になります。
③損失の金額を3年間繰越できる
開業1年目などは経費が多額にかかり赤字になる可能性が大きいものです。所得税は暦年課税ですので、白色申告の場合、所得計算で生じた赤字の金額は切り捨てですが、青色申告なら、この赤字を翌年以降3年間繰越して、翌年以降の所得から控除することができます。
④特別償却・税額控除その他特別な減税制度を適用できる
固定資産の償却が法定の償却額より多く必要経費にできる特例や引当金を計上して必要経費を余分に計上できる制度など、青色申告であれば優遇される特例が数多くあります。
青色申告者には「厳正な帳簿づけ」の義務がある
青色申告者には次のことが義務づけられています。
●定められた帳簿を備え正確に記帳すること
●帳簿に基づいて青色申告決算書を作成すること
●帳簿を7年間保存しておくこと
多少の手間はかかりますが、ぜひ挑戦してください。個人事業主の大部分は青色申告を選択しています。
開業2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を申請
青色申告をするためには「所得税の青色申告承認申請書」という書類を税務署に提出します。その書類提出後、税務署長からなんの通知もなければ青色申告が承認されたことになります。「所得税の青色申告承認申請書」は国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp/)からダウンロードできます。
必要事項を記入したら、事業を開始した日から2カ月以内に提出してください。1日でも遅れてしまうと1年目は青色申告ができません。なお、事業を開始した日が1月1日から1月15日の間であるときは3月15日までに提出すればよいことになっています。
「所得税の青色申告承認申請書」の書き方
「所得税の青色申告承認申請書」の書き方は、記入例を参考に必要事項を記入してください。
まず、「納税地」の欄には自分の住所を記入してください。自宅以外の場所で事務所を構える場合には「上記以外の住所地・事業所等」の欄に記入します。もし、住所ではなく、事業所の所在地の税務署で申告したいときは「納税地の異動の届出」という書類を異動前の税務署に提出することが必要になります。
「6 その他参考事項」欄で、青色申告特別控除を最大限の65万円受けたいときは「(1)簿記方式」で「複式簿記」を選びます。この場合は「(2)備付帳簿名」のうち、選択した帳簿をすべて備えることが必要です。
「簡易簿記」を選ぶ場合は「(2)備付帳簿名」のうち、現金出納帳から固定資産台帳までを作ればよいことになります。ただし、これでは青色申告特別控除は10万円しか受けられません。
市販の経理ソフトなどを使えば「総勘定元帳」「仕訳帳」「振替伝票」も簡単に作れます。ここはぜひ複式簿記に挑戦してみてください。
最後に、申請書を作成するときは、必ず同じものを2部作って提出ください。1部は税務署への提出用、もう1部は自分の控えです。税務署の収受印があるものを返してもらいます。これが、青色申告ができる証明書になりますので大切に保管してください。
山端 康幸
東京シティ税理士事務所
代表税理士